消費者心をくすぐる「おまかせ」とは?

入国制限の緩和と円安も相まって、国内のインバウンド需要は徐々に復活の兆しを見せています。
訪日外国人が観光する場所は様々ですが、多くの方が日本の食文化に興味を持って来日されます。

「sushi(寿司)」や「sukiyaki(すき焼き)」等、海外に広まっている日本語はいくつかありますが、近年「omakase(おまかせ)」が料理のような位置付けで注目されています。
今回は「おまかせ」からヒントを得たECの接客を考えます。

「おまかせ」と「おすすめ」の違い

「おまかせ」と「おすすめ」は一見すると似たような言葉ですが、おまかせは「任せる」に「お」を付けた丁寧な表現で、『相手に委ねる』という意味があり、おすすめは「すすめる」に「お」を付けた丁寧な表現で、『相手に行為を促す』という意味があります。

おすすめの場合、すすめられた本人が決定権を持っているため強制力はさほどないですが、おまかせは本人の意思で相手に委ねている状態です。

おまかせと言うワードをよく耳にするのが飲食業界ですが、おまかせが定着したキッカケは高級寿司店の接客です。
その日仕入れた食材を、お客様の嗜好に合わせて職人が腕とセンスで調理する『おまかせコース』は、対面ならではのオーダーメイドスタイルとして評価され、国内外問わず飲食業界に浸透しました。

コロナ禍により非対面が推奨されてきた昨今、タッチパネルでの注文や配膳ロボットの導入等、大きな改革を強いられたのが飲食業界です。
対面でしか味わえないおまかせコースは、ある意味時代に逆行したサービスのようにも感じますが、料理のテイクアウトが一般化し、高級店とコラボした冷凍食品がスーパーに並ぶ今だからこそ敢えて体感したい特別なサービスと言えるでしょう。

『おまかせコース』をECで提供するには?

お客様の嗜好に合わせたサービスは対面だけのものではありません。
例えば、貴店でアロマオイルを扱っているとします。
フローラル系、シトラス系、ハーバル系、ウッディ系、オリエンタル系、スパイス系、樹脂系等、香りには様々な系統がありますが、好みが分かれる商品のためお客様は冒険することが少なく、毎回同じ香りか同系統のアロマオイルを購入されがちです。

このような場合に提案したいのがおまかせコースです。
お客様から好みの系統を伺い、香りのプロ目線で組み合わせてセット商品として提案することで、お客様はこれまで試したことのない香りや商品を手に取ることができます。

お客様1人1人の嗜好に合わせてオーダーメイドできるおまかせコースは対面接客のような臨場感があり、
選んでもらった商品が好みにマッチしていた場合、店舗への信頼度が更に高まります。

おまかせコースは初めての方にもリピーターにも刺さる手法ですが、成功の鍵は接客方法と価格帯にあります。
メールではなくチャットやオンラインツールで接客することで、タイムリーなやり取りが可能となりお客様との距離感が払拭できるため一歩踏み込んだヒアリングが可能です。
どのページに遷移しても目立つよう追従バナーを設置し、決めかねて悩んでいるお客様を囲い込みましょう。
価格は敢えて高価格に設定し、比較的安価に設定した店舗おすすめセットを併せて販売することで、おまかせコースの特別感が演出できます。

お客様が商品を選ぶことが当たり前のECにおいて「プロに選んでもらうこと」は、付加価値と創造性のある新たな購入体験と言えるでしょう。

おまかせコースの導入で消費者ニーズに応えよう!