デザイナーとして文字の扱いは必要不可欠。
情報を伝える上で特に注力したいのが視認性と可読性ですが
四角四面な優等生デザインでは世に溢れるページの中に埋もれてしまいます。
そこで、他のページと差を付ける一癖あるフォントの扱いを伝授します。
■変化を植え付けるリズム感
例えば、輸入食品を扱う店舗のページがあるとします。
どれもこれもパッケージが洗練されていてとってもおしゃれ。
もちろんページもその商品イメージにふさわしいスタイリッシュな印象です。
使用されているフォントも線が細く美しい明朝体やスクリプト体だとしましょう。
もちろん何を書いているのか認識できるよう視認性と可読性には充分に注意を払い
商品に対する熱意やコメントを細かく記載しています。
しかしながら、画像は目に飛び込んでくるのに
書いてある文字情報があまり入ってきません。
商品を見て「これが欲しいな」と感じるまでには様々な視覚情報が必要となりますが
このままではそこに行きつく前に離脱してしまいます。
これは一体どういうことなのか?
答えは、文字がページに埋もれて「デザインとして認識されている」ことに他なりません。
ページの印象や商品と馴染みが良いことはフォント選びの基本ですが
馴染み過ぎてしまい、結果的に文字情報として認識されなくなってしまうことがあります。
デザインという観点においては美しく整えられていることは非常に気持ちが良いのですが
WEBページにおいては、リズムをあえて崩し消費者の視線を誘導することが重要です。
■違和感を逆手に
そこで試して欲しいのが「文字自体をデザインする」ということです。
近年は手書き文字への注目度が高まっており、
データ化され美しく整えられた既存のフォントにはない
人間味のある雰囲気が新たな魅力を生み出し「のらもじ」と評されたりもします。
その代表例は、古くからある商店等の看板やスーパーマーケットの手書きポップです。
例えばスナック菓子があるとします。
商品名と内容量と価格が書かれている整然とした表記の横に
「全部食べても100キロカロリー♪
これのおかげで挫折せずダイエットに励んでます!」
と手書きのポップが貼られていたらどうでしょう?
消費者にとって刺さるコメントは人物像や状況にも起因するため千差万別ですが
はみ出したポップの形状にまず違和感を覚え、
その上に配置された手書き文字に視線が集中します。
特に日本人は整列していないものや並んでいる中で突出しているものに対して
無意識に違和感を感じる性質があり、それを逆手に取ることで注目を集め
結果的に文字情報を読んだ上で商品に手を伸ばしてしまうのです。
書いている内容もあえて取り繕わず、思ったままの感情を記載したほうがより心に響きます。
親しみやすい表現は、多くの消費者が
「自分に向けられている言葉なのでは?」と錯覚しやすいからです。
これをページ内で表現するには、商品情報の傍にふきだしを作成し
その上にコメントを書く「はみ出し演出」が良いでしょう。
この手法は商品情報の箇所だけではなく、バナーやLPに使用するのも効果的です。
その際、手書きで一からフォントを作成するのは時間と労力がかかるため
まずはデザインの体裁に合わせた既存の手書き感のあるフォントの使用をおすすめします。
ただしページ全体の文字情報を全て手書きにしたり、
やたらとふきだしを使い過ぎてしまうのは考えものです。
本来の目的である文字を文字として認識してもらうということを忘れてはなりません。
視認性と可読性への配慮とともに、特に注目して欲しい商品に
フォーカスして「はみ出し演出」を行うことで
選択肢が自然と狭まり消費者は選びやすくなるのです。
店舗独自のフォント使いでリズミカルなデザインを楽しもう!