長引くコロナ禍でECが追い風と言える昨今、消費者は食品から日用品、服飾雑貨に至るまでネットショップを利用して購入する頻度が増しました。
その一方で、口に合わなかった…思った商品と違った…等、失敗を経験することも少なくありません。
今回は「消費者の希望にマッチする商品とは何か?」を考えます。
ネットショップ購入の落とし穴
消費者が買い物をする際、特に重視するのが「見た目」と「価格」です。
ここではポイントやクーポン等のインセンティブも価格に含みますが、これらはCVを大きく左右する要素と言えます。
例えば、あなたは春物のカットソーを購入するとします。
「300円OFFクーポン付きでお買い得!見た目も気に入ったし、オフィス用にパンツインして着よう」という理由で購入。
が、手元に届いた商品は思った以上に横幅が大きく着丈も長い。
ページ内に詳細なサイズ表記はあったけど、普段通りのMサイズなら安心…と、あまり気に留めず購入してしまった。。。
ここで気になるのが、消費者はこの商品を「今後着用するのか?」ということです。
同様の商品を店頭で購入する場合、体にあててサイズを確認したり試着もできるため、購入後にサイズが合わないというケースは稀ですが、ネットショップの場合、商品詳細ページに記載された情報がほぼ全てであり、ここを見落としてしまうケースは多々あります。
また店頭で購入する場合、在庫があればその日のうちに持ち帰ることが可能ですが、ネットショップの場合、商品が届くまでに少なくとも1日以上待つため、店頭で購入するよりも商品への期待度が高まります。
待った上で届いた商品が思ったものでない場合、当然ガッカリしますが、自身の不注意が招いた結果だとしても、『完全なる失敗』だと思いたくないのが消費者心理でしょう。
もちろんサイズだけではなく、色もデザインも気に入らなかった…という場合、家族や友人に譲ったり、購入した商品をフリマサイトで販売して、後日別の商品を購入するケースもあるでしょうが、多くの消費者は、部屋着やワンマイルウエアにする等、本来の目的を変え、今後も商品を着用することを考えます。
消費者が求めている商品をスムーズに届けることは、消費者の手間や気苦労を軽くし、永続的にその店舗を利用してもらうことにも繋がりますが、それを可能にするのがパーソナライズ商品です。
パーソナライズとは顧客の属性や嗜好に合わせた最適な情報やサービスを提供することで、その商品ジャンルは、ファッション・サプリメント・シャンプー・香水・フード等、様々です。
体質やアレルギー等の細かな身体的データを基にした商品もあれば、味や香り等の好みを基にした商品もあり、今後もジャンルが拡大することが予想されます。
パーソナルな販売戦略
一昨年マルチサイズを本格始動させたZOZOTOWNが今年リリースしたコスメ専門モールZOZOCOSMEでは、パーソナルカラーを取り入れた肌診断を基にした購入体験が可能となりました。
パーソナルカラーとは、その人の生まれ持った色(髪・瞳・肌)と雰囲気が調和する色を指し、肌の色で大きく2つに分けると、黄みがかった肌を持つイエローベースと青みがかった肌を持つブルーベースとなります。
パーソナルカラーは、ヘアカラー、コンタクトレンズ、化粧品、服飾雑貨等、色を纏う要素の全てが人物の印象に影響を与えます。
調和する色を身に着けることで魅力が増し、調和しない色を身に着けることで魅力が半減すると言われています。
特にアイシャドウや口紅等のコスメは第一印象を左右する要素が大きく、中でも多くの女性が迷いやすいのが「自分の肌の色に合ったファンデーション」です。
店頭で腕に試し塗りしてから購入したが顔だけ白く浮いてしまった…白く浮くのが嫌で1トーン下の色を購入したら思った以上に暗かった…等、しっくりくる商品に巡り合うまでに労力と悩みが尽きません。
またコスメはトレンドが反映されやすいジャンルのため、使用していた色がいつの間にか廃盤になることも少なくないでしょう。
百貨店のコスメコーナーでお化粧を施してもらうことが困難となった今、多くの消費者は自身で商品を探すこととなり、これまで以上に正確な情報を欲しています。
そのため、色を理論で証明できるパーソナルカラーが重宝されるという訳です。
例えばあなたの肌がイエローベースだとします。
パーソナライズされたファンデーションは当然イエローベースの肌に馴染む色合いですが、本人的にはブルーベースに見せたいとしたらどうでしょう。
その場合、化粧下地の色をイエローベースの黄みを抑える補色の紫とし、本来の肌色を調節した上で、イエローベース用のファンデーションを塗ることで、顔だけ浮くことなくブルーベースに寄せることが可能です。
消費者は自分にピッタリのパーソナライズされた商品を手に入れても、自身の希望を叶えるためであればカスタマイズすることを止めません。
もちろん同じメーカーで一式揃えたり、メーカー側の使用方法を忠実に守る消費者もいますが、香りを変えるためにA社のシャンプーとB社のコンディショナーを組み合わせて使用することや、味を変えるためにC社のスナック菓子にD社のスパイスを振りかけて食べることはなんら珍しいことではありません。
カスタマイズを行う消費者は、誰かと同じで安心するという意識はなく、誰とも被らないオリジナリティに重きを置いています。
そのためカスタマイズにひと手間加わったとしても、好みの状態に近づくことで商品に対する満足度は向上します。
例えその商品が消費者にとって包括的な要素を含んでいなかったとしても、新たな使用方法やカスタマイズ方法を指南することで、長きに渡り愛される「外せない商品」として君臨することも可能なのです。
カスタマイズされることを意識した商品の在り方を考えよう!