お問い合わせと購買の相関性

実店舗の休業や営業自粛に伴い、食事をデリバリーすることやECで商品を購入することが当たり前のように感じられる昨今。
実店舗での買い物が主流だった多くの年配者は、昨年以降、ECでの買い物を余儀なくされる事態となりました。

実店舗での買い物の醍醐味は、直接手に取ったり試着したりできることですが、スタッフとのコミュニケーションも購買を後押しする上で欠かせない要素です。

今回は実店舗とECの特性を踏まえ、お問い合わせを利用する消費者心理と購買の相関性を紐解きます。

実店舗で商品まで辿り着く方法

例えばあなたがサプリメントを探しに薬局に行くとします。
店内を見回すと「サプリメントコーナー」と書かれたパネルがあり、目当ての商品の場所にすんなり辿り着くことができました。

消費者は「まずは自分で探したい」という思いからそれを実行した形となりますが、探した末に見付からない場合、店内のスタッフに声を掛ける方と何も言わずに別の店舗に流れてしまう方が居ます。

前者が店内のスタッフに声を掛ける目的は「目当ての商品の場所を教えて欲しいから」であり、この店舗で購入する可能性が高いと言えます。
では、後者はなぜ声を掛けずに退店してしまったのでしょうか?

声を掛けたかったけど、店内を見回してもスタッフが居なかったから…
スタッフは居たけど忙しそうだったから…
声を掛けて探してもらうと買わないといけない気がするから…

このようなことが大いに考えられますが、実はこの事象には複合的な要素が絡んでいます。

例えば、目当ての商品が育毛剤や水虫薬等のデリケート商材の場合、消費者は「こっそり購入したい」という心理が働きます。
デリケート商材を購入する背景には、「一刻も早く改善したい」というポジティブな心理と、「誰にも知られたくない」というネガティブな心理が混在しています。

このような時こそECの出番ですが、ECの場合、送料やタイムラグが発生するため、急を要するデリケート商材の場合、実店舗で購入するケースも珍しくありません。
「仕方なく実店舗で購入する」と言った際、人目を避けるため、よく行く馴染みの薬局ではなく普段利用しない店舗や郊外まで足を延ばす方も居るでしょう。

消費者は事前に商品情報をオンラインやレビューで確認した上で実店舗を訪れるわけですが、商品を探しても見付からない場合、余程特別な理由がない限り別の店舗で購入することを検討し、声を掛けずに退店するのです。

例えば、本日限りポイント○倍やクーポンを利用して安価で購入できる等のインセンティブが与えられたとしても、そもそも目当ての商品が決まっているため、心を動かすことは困難です。

ECで必要なコミュニケーション術とは?

実店舗での店内スタッフに対する声掛けは、ECで言う「お問い合わせ」に当たります。
主に消費者は『確認』『相談』『クレーム』を店舗側に伝える際にお問い合わせを利用することが多いでしょう。

例えばあなたが生活雑貨のEC店舗を運営しているとします。
年配女性のお客様から「孫に誕生日プレゼントを贈りたいけど何が良いか分からない」と言う内容のお問い合わせを受けたとしましょう。

現時点ではお孫さんの年齢や性別等の詳細情報が不明なため、こちら側も何を提案したら良いか分かりませんが、ここで活きるのが「カタルシス効果」を利用したコミュニケーションです。

カタルシス効果とは、不安や緊張を感じた際に自身の感情を他者に漏らすことで安心を得るという心理効果ですが、このような時世では他者と直接会話することが困難です。
お問い合わせという手段で店舗に相談してくれたことで、お客様は店舗とのコミュニケーションを望んでいると考えられます。

数ある店舗から選んでいただけたことはとても光栄ですが、同時に、店舗側の対応の良し悪しで購入するか否かも決まると言えます。
お問い合わせをいただいたお客様はEC慣れしている方かもしれませんが、もしECに不慣れなお客様だった場合、お問い合わせはとても勇気のいる行動です。

そこで、お問い合わせをいただいた年配女性のお客様に対して、まずは雑談を交えた文章でリラックスしていただきましょう。
お孫さんのお話を聞き出す際にも、テンプレートのような堅い文章ではなく、絵文字を多用したり、親しみのある柔らかい表現を心掛けましょう。

文章の場合、こちらの意図が上手く伝わらず、受け取られ方が変わったり思わぬ方向に飛躍することが多々あります。
そのため受け手の年齢や性別に関わらず「会話」を意識することが大切です。

特にクレームはお問い合わせの対応が不十分な場合、その不満がレビューに移行することがあるため、お客様の機微を察することが最も重要となります。

現在は文章ベースのお問い合わせだけではなく、チャットができる店舗も増えつつありますが、若年層以外には少しハードルが高いコミュニケーションツールと言えます。

お客様からのお問い合わせ内容には、店舗をより良くするヒントが隠されています。
例えクレームでも、お問い合わせを下さったということは、対応次第では今後も継続して店舗を利用していただける可能性を秘めています。

既存のお客様でも初めてのお客様でも気軽にお問い合わせをいただけるよう、店舗のUIやお問い合わせ導線の位置を今一度見直し、まずは受け入れ態勢を整えましょう。

消費者に寄り添ったお問い合わせ対応で店舗の魅力を底上げしよう!