間もなく梅雨のシーズンを迎えますが
初夏のこの時期に欠かせないのが日傘。
先日小池都知事が発表した「かぶる日傘」も世間を賑わしましたが
紫外線を遮るのはもちろん、雨天時も使用できるものが多く
「日傘男子」と呼ばれる日傘をさす男性の姿も少しずつ増え始めました。
そこで今回は、日傘を筆頭としたジェンダーレスな商品と
ECの相関性を紐解きます。
■時代の流れと美意識の変化
ジェンダーレスとは、主に男女の境界や性別的な差異をなくすという考え方を指しますが
日本で浸透した理由の一つにファッション業界で注目されたことが挙げられます。
例えば、女性が男性用のオーバーサイズの服を着たり
男性が女性用の細身のシルエットの服を着たりする
いわば「ジェンダーレスファッション」が近年のトレンドです。
特に昨年から今年にかけて、父親が若い頃に着ていた服や靴等を基調とした
「ダッドファッション」が男女共に注目されていますが
バリエーションが多く気軽にチャレンジしやすいという意味でも
どちらかと言うと女性がけん引している印象です。
しかしながら、近年はファッション以外にも
男性の中にジェンダーレスな風潮が取り入れられるようになりました。
その代表的なものが「メンズコスメ」です。
日本における男性用化粧品の歴史は古く、20世紀初頭には既にヘアケア商品が存在していたとされていますが
1972年に資生堂が販売を開始したスキンケア商品が男性用化粧品の先駆けと言えるでしょう。
そもそも男性が化粧品を使うことは、日本古来の俗に言う「男らしさ」とは
少しかけ離れた行為と認識されがちでしたが、1980年代に入りビジュアル系バンドが登場したことが
若年層の美意識を大きく変化させるきっかけとなりました。
さらに1990年代のEC黎明期には、DHCがメンズラインの化粧品を通販展開したことで
店頭購入に対する気恥ずかしさから使用をためらっていた男性を見事に取り込むことに成功しました。
化粧品はECにおけるリピート商品の代表格であり、その特性とも見事にマッチした好例です。
■情報と意思を解放する時代へ
2000年代に入り大手化粧品各社は、こぞってメンズラインの化粧品をラインナップに加える等
市場はどんどん拡大し続けています。
近年はSNSや動画配信サイトの普及により、コスメだけではなく
ネイル・脱毛・エステ等の美容に精通した男性インフルエンサーが登場したことで
美しい男性に憧れて、彼らが使用する化粧品やサロンを利用する女性が増加する等
まさにジェンダーレスな時代と言えるでしょう。
また「スイーツ男子」や「カフェ男子」等も増加し
一昔前は女性客がコアターゲットだったジャンルも
男性がどんどん進出しています。
その背景には、元来求められてきたであろう「女性らしさ」や「男性らしさ」に重きを置くのではなく
時代の流れと共に変化した「自分らしさ」の尊重があります。
ここで重要なのは「型にはめないこと」です。
多様性に満ちた昨今、男性も日傘をさし、カフェでスイーツを堪能する時代です。
男女の境界を意識しない店舗設計や色や柄等に捉われすぎない商品ラインナップから
各々が自由に選択する購買スタイルこそが、現代的なECと言えるでしょう。
時流を掴んだマーケティングで消費者に寄り添おう!