季節感と初物文化

10月に入り、ようやく秋の気配が漂ってきました。
日本の四季は世界的に見ても変化が顕著で分かりやすいと言えますが、季節の移ろいを感じるのに一役買っているのが「初物」です。

今回は日本における初物文化と旬にスポットを当て、ECでの訴求方法を考えてみます。

初物は縁起物?

初物とは、その季節に初めて収穫した野菜・果物・穀物・魚、その年に初めて食べるものを指し、日本では古来より縁起が良いとされてきました。
初物が入ることわざに「初物七十五日」があり、「初物を食すことで七十五日延命できる」と言われています。

このことわざは江戸時代に遡り、死刑囚が死ぬ前に食べたいものを問われた際、延命するために少し先の「初物」を所望したことから、刑の執行時期が伸び、結果的に延命できたことが由来と言われています。

七十五日は初物が収穫される季節の区切りを指しますが、縁起を重んじる日本人は初物を延命の象徴と捉え、初物=縁起物として広め、現代まで浸透したと言えるでしょう。

初物の代表食材と言えば「初鰹」「初鮭」「初ナス」「初キノコ」です。
初物と同じ意味で捉えがちな旬ですが、初物が「走り」なら、旬は「出盛り」で、その食材が多く出回り美味しい食べ頃を指します。

旬の食材は市場に多く出回り、販売価格が安く美味しいため、昨今の物価高騰によるシワ寄せを受ける消費者にとっては、旬を迎えた食材の方が家計に優しく馴染み深いと言えます。

消費者の購買意欲を刺激する2つの「予」

ハウス栽培や冷凍技術の向上により、季節を問わず様々な食材を目にする機会があることから、消費者の旬の定義は曖昧になっていますが、「新じゃがいも」「新たまねぎ」「新茶」「新そば」「新米」等、食材の頭に新が付く食材を消費者は好んで購入する傾向です。

一般的に食材は収穫した後で貯蔵して熟成させますが、新と付く食材は収穫後すぐに出荷されます。
そのため、鮮度が高く、水分量が多く、瑞々しいのが特長です。

新が付く食材は厳密に言うと旬では無いですが、その時期ならではの食べ方が楽しめたり味も良好なため、旬の時期と比べて少々値が張っても購買意欲に駆られます。

店頭の場合は販売を開始してからが勝負となりますが、ECの場合、販売前に2つの「予」を仕込みましょう。

1つ目は「予告」、2つ目は「予約」です。
販売開始日をSNSやメルマガで大々的に告知し、リリース前から予約注文を開始することで、消費者のワクワク感と待ち遠しさを刺激します。

その際に注意したいのが発送に関するアナウンスです。
心待ちにしている消費者の元へ1日でも早くお届けしたいところですが、新が付く食材が多く販売される夏から秋にかけては自然災害の発生も多い時期です。
敢えて発送日を明記せず「〇月〇日以降、順次出荷」等、余裕のある言い回しも視野に入れ、遅延によるトラブルを未然に防ぎましょう。

初物と旬の違いを意識し、季節感を訴求しよう!