不測の事態の過ごし方

新型コロナウイルスの感染が猛威を振るう中、深刻なマスク不足によりフリマアプリ内で高値で取引される緊急事態となっています。
今回は不測の事態によるECへの影響について考えます。

依存が招いた思わぬシワ寄せ

マスク不足の大きな要因として、日本に流通するマスクの8割を占める中国産マスクの流通が止まっていることが挙げられます。
これはマスクに限ったことではなく、中国への生産依存度が高い「使い捨ての安価な商品」「化粧品」「アパレル商品」等は多大な影響を受けています。

中でも「アパレル商品」はシーズン毎に新作を提案するものであり、人件費や輸送費等あらゆるコスト面を考慮し、生産拠点を中国とする場合が多いですが、中国の工場が稼働できない場合、新作はおろか販売自体の目途が立ちません。

中国への生産依存度が高まった背景には『付加価値基準』が関係していますが、付加価値基準とは日本産と外国産のものを組み合わせて商品を作る場合、日本で与える付加が一定値を超えた際に日本産として扱う仕組みであり、近年はグローバル化に伴い、その定義は増幅し曖昧になっています。

例えばアパレル商品の場合、中国製の生地を使って中国の縫製工場で製作し、日本に輸入してポケットのみ日本で付けた場合でも『日本製表記』が可能です。

上記は極端な例ですが「最終工程をどこで行ったか?」という付加価値基準ルールに基づいた場合、全行程を日本で行わなくても『日本製表記』が可能というわけです。

特にECの場合、生産工程だけでなく配送コストも考慮する必要があるため、自店の利益確保を念頭とした結果、中国への生産依存度が高まったことは否めません。

顧客接点の鍵は来店促進にあり

今後の復旧目途が立たないことへの不安は募り「売るものがない!」と嘆きたくもなりますが、不測の事態が起こった時こそ自店と向き合うチャンスです。

商品ラインナップや現在の販売手法の見直しと共に顧客接点について改めて考えてみましょう。

例えば商品力に頼って売上を伸ばしている店舗の場合、商品が欠けると停滞しますが、商品力に加えファンの囲い込みができている店舗の場合、商品が欠けても停滞しません。

仮に商品を先述のマスクに置き換えた場合、現在は市場全体で不足しているため、消費者は馴染みの店ではなく「どこでもいいからあったら買う」という特殊な状況ですが、マスクが市場に潤沢にある場合、消費者は馴染みの店を利用します。

利用するきっかけは様々ですが、消費者満足度に共通して言えることは「お得さ」です。
お得さを感じてもらうためには店舗が消費者に対して何らかのインセンティブを示す必要がありますが、ここで重要なのが「来店促進」です。
再来店を促す即効性の高い施策としてクーポンがありますが、もう一つの施策として注目したいのが来店ポイントです。

クーポンやポイント等のロイヤルティプログラムは、近年のスマートフォン普及により従来のカード型からスマートフォンを経由したアプリやSNS型へと進化し、店舗側からの来店アプローチを消費者に通知する時代となりました。

ECの場合、来店促進を行い顧客との接点を増やすことで商品欠けや外出を控える動きがあったとしてもその影響を最小限に抑え、店舗に再来店してもらうことが可能ですが、その後ファン化させることや売上に繋げることに対しては+@のアプローチが必要です。

ロイヤルティプログラムは一つのきっかけに過ぎませんが、店舗の存在を定期的に示す施策としては非常に有効ですので積極的に取り入れましょう。

ピンチがチャンス!不測の事態こそ適応力で乗り切ろう!