共感を生むSNSマーケティング

国民の約8割弱がスマートフォンを所有している現代において
SNSマーケティングは欠かせない戦略の一つとなりました。

中でも若年層や女性ユーザーが半数以上を占めるインスタグラムは
今年の7月から共感指数を測る「いいね」の数を非表示にするテストを
日本で開始したことでも話題となりました。

今回はインスタグラムが「いいね」の数を非表示にした背景と共に
匿名性のあるSNSの有り方について紐解きます。

満たされない欲求とSNSによる弊害

インスタグラムがテストを開始した主な理由として
「いいね」の数がユーザーの精神に影響を及ぼすことが挙げられます。

精神に及ぼす影響の根底には「所属欲求」や「承認欲求」が潜んでおり
大きく分けて二つの行動と結び付きます。

一つは『過剰行動』です。
より多くの「いいね」を獲得するために、観光地でのマナー違反や犯罪を犯すケース
危険な場所に足を踏み入れ、時に命を落とすこともあります。

もう一つは『比較行動』です。
ユーザーがSNSを利用する理由として
「知人の近況を知りたい」「人と繋がっていたい」「自分の近況を知ってほしい」の三つが上位と言われており
ユーザーの身近なコミュニティ内での情報発信と共有の場所として根付いていましたが
ツイッターやインスタグラム等の匿名性のあるSNSが誕生したことで
リアルな人間関係に疲弊したユーザーを囲い込むことに成功しました。

匿名性のあるSNSはリアルのような煩わしい人間関係が少なく
不特定多数のユーザーと接点を持つことが容易ですが
その弊害として「人と自分を比べてしまう」という悪循環に陥りやすいのも特徴です。

趣味やライフスタイルの近いユーザーとのコミュニケーションや
自身の投稿への反応により、一時的に「所属欲求」や「承認欲求」は満たされますが
次第に他のユーザーの「いいね」や「フォロワー」の数が気になり始め
『どうしてフォロワーが増えないんだろう…』『自分は人より劣っているのでは…』等、負の感情に支配されます。

その結果、ユーザーの精神は更に疲弊し
本来の目的を見失いアカウントを休眠または削除することになるのです。

SNSユーザーが本当に求めるもの

SNSがユーザーに提供している価値の一つとして、「所属欲求」や「承認欲求」を満たすことが挙げられますが
彼らが本当に求めているのは、知人や共感できるユーザーとの自然なコミュニケーションです。

例えばトレンドのスイーツ情報を知るためにインスタグラム内で#スイーツにて検索したとしましょう。
すると、おしゃれなカフェや手作りのスイーツ画像が並ぶ中、所々に人物画像が混ざっています。

これは#の特性を利用した入口導線の一つです。
#はツイッターから始まったものですが、他のSNSやブログサイトでも使用可能となり
必要情報を検索する際に使用することが出来るため、SNS上ではなくてはならないものとなりました。

特にインスタグラムでは#を付けなければフォロワーにしか見てもらえないため
より多くのユーザーに発信したい場合、積極的に#を付けるのが望ましいでしょう。
そのため、一見すると#と画像がミスマッチだとしても
スイーツを好むユーザーと人物画像の雰囲気がマッチしていれば、そのアカウントへの入口となる可能性が高いです。

とは言え、#検索で上位になるにはアカウントの持つパワー(フォロワー数・いいね・コメント数・保存数等)と
投稿数がマッチしていることが不可欠ですが、本当にスイーツの情報を求めて辿り着いたユーザーからすると
不自然且つ、意図的なわざとらしさを感じるのも事実です。

これは個人アカウントに限ったことではなく、企業や販売者が仕掛けるSNSマーケティングにも言えることですが
「売ってやろう」という姿勢が少しでも垣間見えるとユーザーは違和感を覚えます。
売り仕掛けや戦略に注力するあまり、本来SNSユーザーが求めている知人や共感できるユーザーとの
自然なコミュニケーションをおろそかにした戦略は、商品本来の良さを半減させます。

大切なのは『コミュニティの可視化』です。

まずは自店の商品のターゲット属性を再認識し、彼らがどのようなアカウントをフォローしているか
どのような物やライフスタイルに興味があるのかを把握しましょう。
コミュニティ内で頻繁に飛び交うワードや多数のユーザーがフォローしているアカウントを意識することで
自店の戦略や投稿内容が「売ってやろう」ではなく、「共感」をベースとした自然な訴求に変わります。

数々のSNSを網羅してきた能動的なユーザーを味方に付けたコミュニケーションこそが
共感を生むSNSマーケティングと言えるでしょう。

ユーザー視点の戦略で商品を訴求しよう!