単独世帯や未婚者・非婚者が増加している昨今。
大手ファミリーレストランが1人用ボックス席を導入する等
「おひとりさま」向けのサービスが注目されています。
今回は多様化する「おひとりさま」ニーズを紐解きます。
■キーワードは『新たな価値観』
そもそも「おひとりさま」とは、ミドルエイジの独身者を指す言葉として使われることが多く
どちらかと言うとネガティブな要素を含んだワードでしたが
昨今は趣味嗜好の多様化やライフスタイルの変化と共に
ひとりで行動することがポジティブに捉えられるようになりました。
「就活」「婚活」のようなニュアンスで、ひとり行動を「ソロ活」と呼ぶ等
ひとり行動への抵抗感が低下していることも伺えます。
もちろんひとりで楽しみたいというニーズは随分前から存在しており
一定の消費者の囲い込みができているサービスが『ひとりカラオケ』や『ひとり焼き肉』ですが
どちらかと言うと滞在時間が短く、サクッと済ませて帰宅するようなイメージです。
では昨今の「おひとりさま」のニーズとはどのようなものがあるのでしょうか。
その代表例が『ひとり遊園地』です。
複数人で行くと好きなアトラクションにばらつきがあり
思うように園内をまわれない可能性が高いですが
ひとりの場合、気兼ねすることなく
好きなアトラクションに何度もチャレンジすることが可能です。
上記以外にも、のんびり過ごす『ひとりカフェ』や『ひとり旅』
記念日を贅沢にホテルで過ごす『ひとりバースデー』
記念に残す『ひとりウェディングフォト』等、そのニーズは多岐に渡り
それに応えるサービスも続々と誕生していますが
ここで注目したいのが滞在時間です。
スマートフォンやSNSの普及により、外出先でも常に誰かと繋がれる環境にあるため
ひとりで過ごすことへの心細さや孤独感、手持無沙汰感が払しょくされ
以前と比べて滞在時間が長くなっている傾向です。
もちろんSNSへの投稿を視野に入れ、敢えてひとりで過ごす消費者も多いでしょう。
例えば複数人での食事の場合、何度も撮影するのは困難であり遠慮しがちですが
ひとりであればお気に入りの1枚が撮れるまで何度も撮り直しが可能です。
周りに同じような趣味嗜好の方が居なくてもSNSの中で共感が得られると考えた場合
ひとりで過ごすことは創造的であり、現代的な価値観とも言えるでしょう。
■インドアニーズに商機あり
先述した昨今の「おひとりさま」のニーズは
ひとりで積極的に外出して物事を楽しむ、言わばアウトドアニーズです。
しかしながら、ひとりで外出するのは人目が気になり落ち着かないため
どちらかと言うと自宅で過ごしたいと考える「おひとりさま」も多いでしょう。
ここで重要なのが満足度を感じる要素です。
アウトドアニーズの消費者にとっては、SNS等を通じて人目に触れ共感を得ることで大きな満足度に繋がりますが
インドアニーズの消費者は、自己のペースでの満足度を重視しており
特に食事や掃除、睡眠等、生活に直結する行為の優先度を高める傾向にあります。
例えば食事なら、高級冷凍食品や定期購入の野菜や食品キット、アプリを使用した出前の利用
掃除ならお掃除ロボットやプロの掃除サービスの利用
睡眠ならオーダーメイドの枕や布団等がその例です。
映えることを基準とし、誰かに共有し共感を得たいというよりは
自身の生活環境を豊かにすることが最も重要だと考えるのです。
ひとりで行動することは同じでも満足度を高める要素は個々で異なります。
「おひとりさま」を楽しむ消費者は今後さらに増加することが予想されますが
趣味嗜好の多様化やライフスタイルの変化に合わせた商品提案やアプローチが
次世代を担う満足度の高いサービスと言えるでしょう。
多様化するニーズに応えて市場を活性化させよう!