近年SNS等の普及により、リアル店舗とEC店舗の連動が主流になりつつあります。
消費者は「何を買うか」と同時に「どこで買うか」もより重要視するようになりました。
今回はそれぞれの店舗特性を活かした接客方法を伝授します。
■流入と購入プロセスの違いを見極める
例えばあなたの家の近所におしゃれな外観のお菓子屋さんがオープンしたとしましょう。
店舗の前を通りかかるとオープンSALEと称して焼き菓子を無料で配っており
店内からは甘い香りが漂っています。
「本日オープンしました!ぜひ召し上がってみてください!」
笑顔の女性店員から焼き菓子を受け取ったあなたは、商品の味が気に入り店内へと足を踏み入れます。
女性店員にニーズを伝えた後に、試食した焼き菓子と一緒に別の焼き菓子も購入しました。
通りすがりの消費者に香りを伝え、笑顔で試食を促し店内へ誘導し
商品に直接触れさせる対面接客はリアル店舗ならではと言えますが
商圏が限られるというデメリットもあります。
一方EC店舗は、商品を検索して来店する場合が多く
リアル店舗で言う玄関、つまりトップページを経由しない流入がほとんどです。
そのためトップページを入りやすくおしゃれに見せることよりも
商品ページの作り込みを行うことが重要となります。
さらに検索されることを念頭に、SEOや広告掲載により検索結果を上位表示させて
他店との差別化を図り消費者にアプローチすることも必要不可欠です。
多言語化により商圏は無限大とも言えますが
香りや味をその場で伝えられないことや、対面接客による迅速なヒアリング
来店のきっかけとなった商品以外に触れさせる機会が少ないというデメリットもあります。
■相互活用の鍵は協力体制にあり
消費者が商品を購入する場合、販売価格やポイント等の
金銭的なメリット以外に重視するのが使用する時期です。
リアル店舗の場合、直接商品に触れることができるため
気に入ればその場で購入し当日中に持ち帰ることが可能ですが
EC店舗の場合、受注後に配送手配を行うためリードタイムが生じます。
そのため生理用品や香典袋等、緊急性を要する商品の場合は
必然的にリアル店舗で購入する確率が高くなりますが
ファッショングッズや本等、緊急性が比較的低い商品の場合
リアル店舗で試着や立ち読みをした後にEC店舗で購入…というケースが目立ちます。
双方の店舗には予算等もあるため、販売者側からすると偏りを避けたいところですが
消費者にとっては、リアル店舗でもEC店舗でも希望する商品を購入することがゴールです。
ここで重要なのが、双方の特性を合わせた施策です。
購入するチャネルは違ってもポイントや消費者の購入商品の情報が統合されて
双方の店舗間で見える化が図れた場合、販売者にも消費者にもメリットのある接客が可能です。
例えば洋服を探しにリアル店舗を訪れた際、欲しい商品の在庫がリアル店舗には無いがEC店舗にはある…という場合
EC店舗への来店を促すことで、消費者はEC店舗の存在を知り、欲しい商品を手に入れるために来店します。
また購入商品の情報を把握することで、在庫が無い商品とは別の興味を持ちそうな関連商品を勧めることも可能です。
消費者はこの体験により、自身の状況に応じてチャネルを分けて商品を購入するようになるでしょう。
来店を促す方法としてSNSでの告知等も効果的です。
消費者がアクティブでない時にも常に店舗の情報を発信し続けることで
接触頻度の高まりによるザイオンス効果が期待できます。
特にSALE期間はリアル店舗の店内やレジの混雑を避けるため
告知の際に積極的にEC店舗を紹介しましょう。
その際、EC店舗でも同じ期間にSALEを行いポイントも連動していることを
ページ内にバナー等でしっかりアプローチすることが重要です。
消費者にとってスムーズな購入体験は、店舗間の協力体制のもと成り立っています。
チャネルに捉われない接客こそが双方の特性を活かし合うメリットのある接客と言えるでしょう。
双方の店舗特性を理解し消費者満足度の高い接客をしよう!