客観的な店舗運営とは

長らくEC店舗の運営に携わっていると
デザインや施策のマンネリ化や行き詰まりを感じることがあります。

店舗オープン当初は新しい施策を考え、実行し、店舗の独自性を打ち出すことに注力しますが
運営の効率化を図ることに成功し、当たり施策がいくつも生まれたベテラン店舗の場合
思考が凝り固まってしまいがちです。

今回は店舗運営に行き詰まった時のヒントをレクチャーします。

■「買う」を俯瞰で見る

EC店舗運営で行き詰まる原因の1つとして
「買う」という行為を客観視できなくなっていることが挙げられます。

時が経つにつれ自店のデザインや施策を販売者目線で捉えるようになり
あらゆるカスタムを重ねた末、消費者が買い物しやすいとは言えないページの作りに
なっている可能性があります。

そこで消費者が来店し買い物を完了するまでの一連の流れをイメージしてみましょう。

販売者目線だと一度の来店で1商品ページだけに留まらず
いくつもの商品ページを回遊し結果的に何らかの商品を買って欲しいと考え
商品ページ上に他の商品への導線をやたらと設置してしまいます。

しかし消費者心理として、来店して商品を買うまでの一連の流れは
極力スムーズであって欲しいと感じます。

そのため、たくさん導線が張り巡らされることにより
本来興味を持った商品のページから別の商品のページに移動しやすくなります。

消費者が別の商品ページに移動することは、
一見すると回遊性向上における有意義な施策にも感じますが
実際のところ消費者の興味は様々な商品に分散され
買い物への集中力を欠いた状態で回遊していると言えるでしょう。

これは回遊というより閲覧に近い状態のため
商品への興味はおろか「買う」という行為への興味も薄れています。

販売者側からしてみれば良かれと思った施策もこのように乖離が生じがちですが
そんな時に必要なのが「消費者目線」で商品を「買う」ということです。

常に消費者目線で物事を捉えることは販売者側にとって容易ではありませんが
自店とは別の店舗で買い物をすることで「買う」という行為を客観的に捉え
消費者目線を補うことが可能です。

その際は、自店と同じような商品を扱っており
いつも動向に注目しているライバル店で買い物をするのがおすすめです。

例えばライバル店を訪れた際、商品ページの作り込み度合いや
バナーの配置場所も店舗によって全く異なります。

もちろん販売価格やポイント等のインセンティブにも差があることは当然ですが
ここで注目したいのが商品への導線です。

普段は商品ページのデザインやバナー等のパッと目に見える表面的な部分に注目しがちですが
商品を買い物カゴに入れるまでにどのような導線があるかを消費者の立場で確認することで
それが自身の買い物にどのような影響をもたらすのかを客観的に捉えることができます。

ここで言う導線とはバナーのような画像であってもテキストであっても構いませんが
閲覧する消費者の邪魔をせず、スムーズに心地よく買い物ができることが理想です。

買う気がない閲覧者に近い状態で訪れた場合、たまたま目に入った商品が求めていたものではなくても
心地よい導線があれば、興味を持った状態で別の商品ページに移動し、購入する可能性が高くなります。

これらを鑑み、ライバル店の導線と消費者の接触頻度に注目してみましょう。

例えば全てのページ内に季節商品やメディアに取り上げられた注目商品の導線があるとします。
1商品ページだけの場合、その商品が求めていたものではないとそこで閲覧は止まりますが
幅広いターゲットが想定できる商品の導線を全てのページに設置することで
購入する可能性がある消費者の目に留まり、興味を持った状態でクリックし
結果的にスムーズに他の商品ページに移動する可能性が高くなります。

その場合、固定導線ではなくスクロールしても付いてくる追従導線にするのがおすすめです。

消費者をスムーズに誘導する工夫

もちろん導線は商品選定も重要です。
よく買い物カゴの周辺に集中して商品バナーを配置している店舗をよく見かけますが
一通り商品ページを閲覧し下までスクロールしてきた消費者にとって
他の商品ページにスムーズに移動を促す役割を果たします。

しかし、販売者目線であれもこれもと闇雲に並べていると
店舗から何をおすすめされているのかが分からず消費者は混乱してしまいます。

接触頻度を上げ印象評価の向上を狙うザイオンス効果の観点から見ても
一か所に集中させるのではなく、消費者が何度も見かける導線の方がより効果的ですので
導線の設置場所に気を配ると共に、掲載商品の取捨選択も行いましょう。

大切なのは「消費者目線」で店舗を分析するということです。

買い物をストレスなくスムーズに行えるか否かは表面的な要素だけでは測れません。
まずは消費者の立場に立ち、実際に買い物をすることがそれを知る近道と言えるでしょう。

買い物で得た消費者目線を自店に活かそう!