コロナ禍のイベントと消費者心理

いよいよ2022年の幕が開けました。
国内のコロナ患者数が激減していることもあり、年末年始は帰省や旅行を実施した消費者も多く見受けられました。

コロナ禍も3年目に突入し、生活や仕事環境の大きな変化と共に、これまでの常識や価値観がガラッと変わった今、ECの大きな商戦と言えるあるイベントが窮地に立たされています。
今回はコロナ禍を機に淘汰されつつあるイベントと消費者心理を紐解きます。

無駄の排除で起こった弊害

コロナ禍では他者との接触頻度を減らすことを念頭に、対面での打ち合わせや会食を控えることが推奨されていますが、これらはオンラインでも賄うことが可能です。

オンラインの場合、時間やコストが削減できることや距離を気にせず参加できることもあり、その便利さから利用する機会が増えました。
社内メンバー間で実施してきた会議や会食もオンライン化されることが多くなり、忘新年会等の会食は軒並み中止となりましたが、実はこれを良しとする方が多数存在するのが実情です。

特にZ世代の飲み会離れは切実で、上司への気遣いやマナーを求められること、帰宅時間が遅くなることが主な理由となり、例え飲食代金が会社持ちであっても参加したくないという意見が少なくありません。
友人や家族ではない人物との関わりをシビアに捉える多くのZ世代にとって、業務時間外に社内の人物と関わることは苦痛であり、営業後の社内飲み会は「気が進まない面倒なイベント」なのです。

かと言って、堂々と不参加を表明することは勇気がいるため、会社がオフィシャルに中止したことで安堵していると言えるでしょう。

コロナ禍を機に全世代間で要不要の意識が変わり、本当に必要な物や人間関係がクリアになったことで思わぬ弊害も生まれています。

その代表例が『社内のバレンタイン制度』です。
テレワークの導入をきっかけに廃止したという声が多く聞かれますが、衛生的観点から、手作りや手渡しを控えるため廃止したのであれば頷けます。
では、何故イベント自体が廃止されてしまったのでしょうか?

その理由の一つに、「止め時が分からず何となく続けていた」という曖昧な意識があります。
バレンタインは日本では女性から男性へチョコレートを贈るイベントとして根付いており、社内におけるバレンタイン制度は、主に女性社員が内内で義理チョコを購入または製造し、当日男性社員に手渡しする…と言ったことがセオリーです。
「郷に入れば郷に従え」の精神で代々続けてきたという会社では毎年恒例のイベントでしょう。

しかし、テレワーク体制で社員同士で顔を合わせる機会が少なくなったことや、ジェンダーレスの視点を考慮し、暗黙の了解でひっそりと終焉を迎えたと推測します。

消費者の優先度が高いイベントとは?

社内の飲み会やバレンタイン制度が廃止されたことで喜んでいる方が居る一方、提供側としてはなんとか存続して欲しいと願うばかりです。
しかしながら、余程仲の良い会社でない限り存続は困難かもしれません。

要不要の意識改革によって存続の危機となっているイベントもありますが、消費者の優先度が高まっているイベントもあります。

イベントと言えばギフトが付き物ですが、ギフトを大きく2つに分類するとお中元やお歳暮等の「フォーマルギフト」と、誕生日や母の日等の「カジュアルギフト」があります。

コロナ禍がきっかけで友人知人や家族間の繋がりを重視する消費者が増加したため、それに比例する形で、直接会えない方への挨拶代わりにギフトを贈る機会が増えました。

これまでは百貨店や店頭で「フォーマルギフト」を購入していた方もオンライン経由で購入する便利さを知ったことで敷居が低くなり、これまで以上に気軽に贈ることができるようになりました。

元々気軽な印象の「カジュアルギフト」も、LINEギフトの登場によって更に身近なものとなり、世代を問わず利用頻度が増えています。

また、外出自粛が徐々に緩和されてきた昨今では、久々の会食時に「プチギフト」を持参することが主流となっています。
ここで言う「プチギフト」とは、「カジュアルギフト」の中でも更に安価なものを指し、焼き菓子やお茶、ボディクリームやコスメ等、贈る相手に気を遣わせない価格帯且つ、温度管理が不要なものが人気です。

これまでECは季節イベントが主な商戦でしたが、コロナ禍においては会食も1つのイベントです。
「プチギフト」は商品ジャンルが広く季節を問わず需要が見込めます。
自店で扱っているメイン商品の商戦期だけではなく、年間を通して積極的にアプローチすることで需要を刈り取りましょう。

消費者心理を理解した商品提案で平月の売上も底上げしよう!