中古市場の光と闇

SDGsへの取り組みが世界的な課題となっている昨今、国内の中古市場はどんどん拡大しています。

日本には古来より、ものを簡単に捨てない『もったいない精神』が根付いていますが、コロナ禍の影響で掃除や模様替えを行った際、まだ使える不用品の処分先としてフリマアプリを利用し始めた消費者の増加が、国内の中古市場を拡大させた大きな要因と言えます。

今回は中古品に対する消費者心理と共に、購入時の注意点を伝授します。

誰もが売り手と買い手になれるフリマアプリ

世界的に見たSDGsの波はアパレル業界や飲食業界で大きなムーブメントをもたらし、エコファーやエコレザー、代替肉と言った地球環境に配慮した商品が続々と誕生しています。

特に環境問題にいち早く取り組んでいるアパレル企業では店舗に衣類の回収ボックスを設置する動きが目立っており、今後もお財布と地球に優しいサービスが求められてゆくでしょう。

国内でもエコバッグが浸透したことで、リサイクルに対する価値観は大きく変化しています。
これまでも電化製品やファッションを取り扱うリサイクルショップは実店舗でもECでも存在していましたが、店舗として商品を販売する場合、【古物商許可証】が必要です。

古物商許可証が不要で誰でも簡単に中古品を販売できるのがメルカリを筆頭とするフリマアプリで、利益を目的として仕入れた商品の転売を行う場合は古物商許可証が必要となりますが、基本的には不用品のリサイクル目的で利用するという意図のため、古物商許可証は不要となります。

コロナ禍以前は若年層の利用が多くを占めていましたが、スマートフォンの普及や配送業者の梱包サポート等により、高齢者の利用も徐々に増加傾向です。

「新しい商品を購入する前に、まず中古品を探す」という行為は「実店舗で商品を購入する前に、まずECで商品を探す」という行為に似ており、その共通点は『価格比較』です。

比較対象がほぼ存在しなかったEC黎明期には考えられなかったことですが、令和におけるカスタマージャーニーには、購入前の価格比較がしっかりと組み込まれているのです。

取引が簡単故の落とし穴

多くの消費者は1円でもお得に商品を購入したいと考えますが、価格優先ではない消費者も一定数存在します。

例えば生産数の少ないブランドの服やフィギュア、コンサートチケット等の「プレミア商品」を求めている場合がそれにあたります。

これらの商品は既に完売していることが多く、中古でもいいから…と縋るような想いでフリマアプリを利用し、例え高額でも、目当ての商品が手に入るなら…と購入してしまいます。

しかし中には先述した利益を目的として仕入れた商品の転売を行っている出品者も少なからず存在しており、市場価値に合わせて法外な価格設定を行っていることも考えられます。
また現在価格が高騰している金属を使用した製品やスマートフォン、電動アシスト付き自転車のバッテリー等、盗品が出品されていることも少なからずあります。

フリマアプリはリサイクル意識の高い安全な場所であって欲しいと願うばかりですが、わたしたちが買い手となった場合、注意したいのが『価格以外の側面にも注目する』ということです。

親切な方が買い手への注意喚起として、悪徳出品者を名指しで公表する動きも見て取れますが、買い手側はパッと見の安さやプレミア感だけに捉われることなく、トラブルを未然に防ぐためにも商品と出品者を見極める洞察力が必要と言えるでしょう。

もちろんECでも同様のことが言えます。
中古であっても新品であっても、出品者は価格面だけに捉われず、操作性の高い店舗設計や他店と比較されても困らない商品ラインナップ、高くても欲しいと思える情報量を常に意識した店舗運営を行いましょう。

価格以外の側面を評価される信頼度の高い店舗創りを心掛けよう!