お中元の本格商戦時期である7月に入り、少しずつ蒸し暑くなってきましたね。
お盆を過ぎ残暑お見舞いの時期になると、今度は夏物のSALEがおこなわれますが、いかに「この店は他と違う」と消費者にアピールできるかが勝負となります。
では、どのようにして差別化を図ればよいのでしょうか。
■ネガティブな違和感
例えば消費者が「この店は他と違う」と感じるのは、あるべきものがそこにない時。
購入しようとしたら「お買い物カート」が見当たらない。
見に来た商品と関係のない商品のバナーやページの雰囲気と違う要素があり、周りとの調和がとれておらず、なんだか落ち着かない。
これらの違和感は、時に「買うぞ!」という気分が分散され、結果「この店で買わなくてもいいか」に変化してしまうことがあります。
■ポジティブな違和感とは?
以前携わったクライアントで、並々ならぬデザインへのこだわりのある方がおられました。
ある日SALE用のバナー制作を急遽依頼されるのですが、あいにくデザイナーのリソースが足りておらず、ディレクターがバナーのラフを起こし、一番目につきやすく、クリック率が高いとされる左上に配置することを提案しました。
ちなみにそのバナーは背景がべた塗りの真っ赤、白い文字で「SALE会場はこちら」とだけ記載してある非常に簡素なもの。
すると、ラフ状態のバナーを見て、「よしこれで行こう!」とクライアント。
「これはまだラフでして、バナーとしてはちょっと…」とディレクター。
その結果、今までにリリースしてきたクライアントのサイトイメージに合わせたバナーとは色も印象もほど遠いものを設置することになったのです。
しかし、驚いたのはここから。
今まで設置したSALEバナーよりも、今回設置した簡素なSALEバナーの方が通常時と比べて3倍という圧倒的なクリック数をたたき出したのです。
割引率も変わらないし、設置場所も同様なのに…
これは一体どういうことなのでしょうか。
僕は違和感がポジティブな方向に働いた好例だと考えます。
そのサイトを見慣れているリピーターの方しかり、初めて訪れた消費者しかり、今までにない何らかの違和感を感じ、ついついクリックしたのでしょう。
今回設置したSALEバナーに使われた色は真っ赤。
赤い色は購買意欲を高め、注意喚起したい場合に多用する色です。
しかし、クライアントサイトの中には、彩度の高い色を使っている箇所はありません。
本来なら、サイトイメージに合わせ、赤を使うにしても彩度の低いなじみやすいものを使用していましたが、SALEという「安さ」や「お得感」を念頭に置いたイベントに限っては、従来通りのセオリーでは消費者にアピールできないということも同時に実証することができました。
■美しさと違和感は紙一重
サイト自体が整っていて美しいことはもちろん重要ですが、本当に伝えたいこと、そして、消費者が欲していることは何なのかと考えた時、自己満足なデザインになっていないかを問う必要がありますよね。
「違和感」を逆手に取ったデザインで消費者アピールに努めましょう