弊社での人材採用の際、最終面接は私が担当しています。ある面接後に、求職者の方からメールを頂きました。内容は「まだまだこれからの会社かと思いますが貢献して成長させていきます!」という意気込み内容でした。
言わんとしていることは分からなくないですが、完全に言葉を誤っています。「これからの会社」であるのを判断するのは、内から外に発信する言葉であって、外から内に発信しては意味がまるで変わってきます。弊社を下に見ている言葉になってしまいます。
ECでも起こりうる言葉の誤り
同じような事がネットショップでもあります。例えば、「今が買い!」という言葉があります。これはお客様(内)が感じて発信する言葉です。買うという行動はお客様主体になるので、店舗としては「今が旬でお得!」という「売り」を伝えなくてはいけません。その先に「買う」という行動が生まれるわけです。いきなり「買う」を訴求するのは、お客様ではなく完全に店舗都合での言葉ですね。
リアルの市場で「さあ、買った買った」と声をかける時もありますが、これは最初からお得なものを求めて「買う」行動の人に対して発信している言葉。何より直接顔が見えての言葉であり、行動(新鮮な魚を捌いている等)も目に見えるので、伝わる言葉の意味が異なります。
言葉一つでコンバージョンが変わってきます。改めて自社で使用している言葉が適切なのか見直してみると良いかもしれませんね。
意外と多い、ネガティブ表現
導入で書いたお話が言葉についてでしたので、今回は「ECデザインにおける重要な言葉」にスポットを当ててみます。弊社にお問い合わせ頂く店舗様のサイトを拝見すると、意外と多いものがネガティブな表現。数年前に、ネガティブ単語をポジティブなものに変える「ネガポ辞典」が話題となりましたが、ネットショップでもこの考え方は活かせます。
ポジティブにすると、モチベーションが上がる
例えば、「母の日に何を贈ろうかと悩んでいる人」ではなく、「お母さんの笑顔を見たい人」と聞いた方が明るいイメージで購入意欲が沸きませんか?他にも「ダイエットしようと今年も半分が過ぎてしまった人に朗報」ではなく、「まだ間に合う!今年の後半戦が勝負!本気でダイエットを考える人に朗報」と言われるとやる気が違うと思います。
ネガティブなイメージを与えない為の工夫
過去の事例ですが、クレジットカードが使えず代金引換のみの店舗がありました。ネットショップでは致命的と思いつつも、売上向上のため考えたのが、このネガポジ変換での言葉表現。「クレジットカードが使えない」のではなく、「当店では人と人の繋がりを重視するため、代金引換のみ受け付けております。ご注文の際はお客様に直接お電話させて頂いております」という見せ方をしました。結果として、クレジットカード導入時の想定と大差ない売上を樹立出来ました。
この例については、実際の店舗もお客様対応がトップレベル。その為、信頼に繋げられた要因もあります。とはいえ、ネガティブではなくポジティブに変換することで、売上訴求に繋がった事例です。改めてサイトで表現する言葉の重要性を感じました。
まずは「やってみる」
ネットショップはその特性から、イメージをいかに伝えられるかが重要です。ネガティブ要素が多いと必然的に、サイト自体がネガティブにもなりがち。自社の商品ページでネガティブな言葉があれば、ポジティブな言葉に変換して、サイトに反映してみましょう。
いきなりは難しくても、考えること自体が重要です。デザイナーの中にはセールスコピー(キャッチコピー)作りが苦手な人もいますが、ライティングも担う事の多いECデザイナーにとっては、必須のスキルです。「出来ないから」と思う前に「やってみる」で進めていきましょう。