消費者の志向の変化と2021年のEC流行予測

新型コロナウイルスの世界的大流行により2020年は例年とは全く違う「特別な年」になりました。

オリンピックの延期を筆頭に、企業の雇止め、旅行や帰省、会食の制限等、新型コロナウイルスは消費者の暮らしの中に様々な影響を及ぼしましたが、EC業界は良い意味で多大な影響を受けました。

今回はコロナ禍における消費者の関心や志向の変化と共に、2021年のEC注目キーワードを予測します。

流行語から垣間見える志向の変化

日本には世界でも稀な「四季」があり、春はお花見、夏は花火、秋は紅葉狩り…と1年を通して大人数で集まるイベントが盛んに行われてきました。
本来なら四季の移ろいを感じながら年の瀬を迎えているはずですが、今年は何をするにも「自粛」を余儀なくされ、少々窮屈な1年となりました。

年始の時点ではマスク着用者も稀であり、当たり前のように出社していた消費者ですが、世界規模での大混乱を目の当たりにし、自衛意識が加速しました。

先日発表された今年度の新語・流行語大賞は「3密」が受賞しましたが、ノミネート候補には「アマビエ」「クラスター」「ソーシャルディスタンス」等、新型コロナウイルスに関連付けられる言葉が並び、消費者の関心が極めて高かったことが伺えます。

その一方で「オンライン○○」「ウーバーイーツ」「Zoom映え」「ソロキャンプ」等、新型コロナウイルスが大流行したことが起因し、密を避けながら実行できる新たな生活様式を見出したとも言えます。

実店舗の時短営業や休業によりECを利用する消費者は急増しましたが、中でも高齢層のオンライン浸透率は急加速しています。
公共機関でのタブレット導入等で少しずつ触れる機会が増えたとは言え、当時はまだ消極的であり、仕方なく利用していたケースも少なくないでしょう。

しかしながら、新型コロナウイルスの流行による外出自粛を受け、帰省できない孫や子供とのコミュニケーション手段として新たにスマートフォンやSNSを利用する「積極的な高齢層」が目立ち始め、オンラインの活用は世代を超えて浸透しつつあります。

場所や時間の垣根がない時代へ

コロナ禍におけるオンラインの活用事例は様々ですが、オンオフに関わらず「3密回避」を念頭としたサービスが注目されました。
オンライン化によって目覚ましい変化を遂げた最たる例が飲食業界です。

これまでの「ふらっと立ち寄る」スタイルから事前に「予約する」スタイルへと時流が変化したことで、事業者側は顧客を管理しやすくなりました。
また、待ち時間や混雑状況が可視化できるサービスの導入により、消費者は並んで待つ必要がなくなりました。

外食を控えている消費者も多い中、レシピ共有サイトを運営しているクックパッドは食材を小ロットからECで購入できて最寄りの場所まで届けてもらえる生鮮宅配ボックス「マートステーション」を開発する等、消費者の細かなニーズにマッチした新たなサービスが続々誕生しています。

今では着用が当たり前となったマスクも、色・柄・素材のバリエーションが増え、チェーン等の装飾品やケース、オーダーまで可能となり、供給が追い付かず高額転売されていたのが遠い昔のように感じられます。

コロナ禍が続いたことで、オンラインで賄えることとそうでないことが精査され、ECの立ち位置はより一層鮮明になりました。

ワクチン開発が急がれる中、消費者の志向は「我慢」から「共存」へと変化し、不自由な状況下でも「日々の暮らしを豊かにしたい」と考えるようになりました。
同時に、現在も注目されているフードロスの削減やSDGsを汲んだ取り組みは、2021年も世界規模で続いて行くでしょう。

このような志向の変化と時流から、
3密回避のサービスとして「日用品や食材の定期宅配」
おうち時間を充実させるサービスとして「高級家具・高級家電のサブスクリプション」
美容・健康ジャンルでは「落ちにくい口紅」「静音かつコンパクトな健康器具」
食品ジャンルでは「発酵食品」「ギフト解体食品」「消費期限間近等の訳あり食品」
旅行ジャンルでは、その場所に行った気になれる「海外のバスソルト」「国内の温泉の素」「ご当地食材」等が
2021年の注目キーワードとなる可能性が高いので、今からチェックしておきましょう。

コロナとの共存を意識したEC戦略で2021年を迎えよう!