昨今注目されているワード「サステナブル」。
わたしたちの身の回りにあるサステナブルな取り組みと共に、未来を見据えたECの役割を考えます。
世界的に浸透するサステナブル意識
サステナブルとは、sustain(持続する)とable(~できる)からなる言葉で、「地球環境の維持や自然環境を守るために持続可能な取り組みを行っていこう」という意味で近年特に用いられるようになりました。
例えば食品業界では、以前よりサステナブルな取り組みを推進しているスターバックスが、海の環境を守る「脱プラスチック」を目標に紙ストローやタンブラーの導入をいち早く取り入れました。
世界的なデジタル企業Appleも、環境への配慮から先日発売が開始されたiPhone12にはこれまで同梱していた充電器やイヤホンを同梱せず別売りとしました。
これにより箱の縮小化と軽量化が実現し、物流への負担が軽減されることによりCO2等の温室効果ガスの排出を削減することが可能となりました。
この取り組みの背景にはイヤホンのワイヤレス化が進んだこと等もあると考えられますが、デジタル企業のAppleがその対極とも言える自然や環境への配慮を大々的に掲げたことで、センセーショナルな印象を受けた消費者も少なくないでしょう。
業界を問わず浸透するサステナブル意識ですが、中でもファッション業界の環境汚染は最も深刻です。
ファストファッションが当たり前となり、安価で購入することが容易となった一方で、衣類は環境に様々な負荷をかけています。
例えば、洗濯時に海に流れ出すマイクロファイバーの有害性、市場に流通している衣類の85%は廃棄され、埋め立て処分されていること等を踏まえ、ファッション業界は世界で2番目に水を多く消費する産業とも言われています。
このような状況を重く見た国連は、2019年3月に「持続可能なファッションのための国連アライアンス」を立ち上げ、ファッション業界における使い捨て文化に終止符を打つために様々な取り組みを行っています。
トレンドとサステナブルの相関性
ファッション業界において2019年は大きな変革の年だったと言えますが、ファッションにおけるトレンドはECにも大きな影響を及ぼします。
例えば動物のリアル素材を使用した皮革や毛皮は、地球環境に配慮した素材を使用した「エコレザー」や「ファーフリー」にシフトしており、秋冬という季節も相まって、今季のトレンドとなりました。
ファッション業界において、高い=良いものという考え方は、いつしか安価なのに良いもの=高見えという考え方に変化したことが伺えます。
わたしたちは普段の生活の中で様々な形で環境への配慮を行っていますが、その取り組みが能動的か受動的かによって「持続可能」という意識は変わってきます。
例えばエコバッグは、どちらかと言うと受動的な要素が強く有料化したから仕方なく持参している…という消費者も少なくないでしょう。
また、オーガニックな化粧品や食品が環境に優しいのは分かっていても高価で手が出ない…等、一筋縄ではいきません。
能動的な形で長く続けていくためには、労力やコストがかからず苦痛を強いられないことが理想となりますが、ここで提案したいのが「捨てるを減らす」ことです。
衣料品を長く愛用してもらうにはどのように扱えば良いのか?
食品を余すことなく使い切ってもらうにはどのようなレシピがあれば良いのか?
自然素材を使用した掃除の方法等、普段の生活の中で実施できるサステナブルな情報を掲載した特集ページを制作し、消費者の意識に問いかけましょう。
また、配送面では「商品を簡易包装にする」「領収書を同梱しない」等、ペーパーレス化を意識することで、消費者は捨てる手間が省けて販売者はコスト削減につながる双方にとって持続可能な取り組みとなるでしょう。
商品が長く使われるということは、地球環境にとっては嬉しい反面、小売り業にとってはある意味死活問題とも言えます。
しかしながら、日々のサステナブルな取り組みが未来のECを創るということを肝に銘じましょう。
双方にとって持続可能な取り組みで環境を守ろう!