変化する旅の形とECの在り方

新型コロナウイルスによる自粛が全国的に解除され、街は徐々に活気を取り戻しつつあります。

都道府県をまたぐ移動も緩和され、旅に出たい気持ちが高まりますが、今は周りの様子を伺いつつ、情報収集に留めている消費者がほとんどでしょう。
今回はアフターコロナの新しい旅の形とECの在り方を考えます。

夏旅はまず国内から

今年はGW期間中も自粛を余儀なくされましたが、その一方で、Googleストリートビューを使用した「バーチャル旅」に注目が集まりました。

そもそもGoogleストリートビューは、マップ上の指定箇所周辺を広角画像で見ることができるツールとなりますが、その特性を生かし普段行くことのできない世界中の名所や、海中や宇宙を画像で見ることでまるで現地にいるような気分が味わえます。

海外への渡航はまだ躊躇いも多く、長時間のフライトや世界情勢の不安を加味するとバーチャル旅は今後新しい海外旅行のスタイルとなるでしょう。

リアルな旅行需要の喚起策として政府が掲げている「Go To Travel キャンペーン」により、8月以降、日本国内への旅行者が増えることが予想されますが、新しい旅の在り方を考慮した場合、これまでと同様の設備やオペレーションでは旅行者を迎え入れることが困難でしょう。

例えば旅行代理店の場合、店頭で旅の相談をしたり予約したりするスタイルから、店頭ではなくほぼオンラインで完結できるプランを導入する、ビュッフェを売りにした宿泊施設の場合、衛生面を考慮し、食事の提供スタイルを変える、混雑が予想される観光地の場合、オンラインでの事前予約を導入して時間制にする等、3密を回避する工夫が必要です。

予約から旅先での決済に至るまで、あらゆる行為をオンライン化することで人との接点を最小限にしたセイフティな旅が可能となりますが、同時に普段PCやSPを使い慣れていないシニア層に向けてのアプローチも考える必要があります。

店頭とオンラインの住み分けをしっかり行い、完全なるオンライン化ではなく直接対話ができる環境をしっかり準備することがアフターコロナの旅の在り方でしょう。

旅先の情報はECで下調べ

アフターコロナの旅の指針として国土交通省と観光庁が公表した「新しい旅のエチケット」には、旅先でのマスク着用や手洗い消毒等の日常的な予防策に加え、シーンごとの注意事項が掲載されており、その中で注目したいのが「おみやげはあれこれ触らず目で選ぼう」という一文です。

おみやげは特に食品の需要が高く、これまでは店頭で吟味するスタイルが主流でしたが、衛生面から試食が撤廃された今、味見をしてから購入することは困難です。
また、キャリーバッグ等に入れて持ち帰る場合、商品の重さは購入を左右する重要なファクターとなりますが、あまり触れずに決めるとなると『なんとなく軽そうだから…』と、つい小さめの箱の商品を選んでしまうでしょう。

旅先のおみやげも商品によってはECで購入することが可能ですが、旅行者にとっておみやげは「旅のおすそ分け」であり、やはり現地に赴き、現物を見ながら『誰に何を渡そうか…』と考えながら選ぶことが最高の旅の締めくくりでしょう。

とは言え、店内が密にならないようなるべく短時間での購入を促す必要があるため、今後はご当地のおみやげを集めたEC版アンテナショップの存在が非常に重要となるでしょう。

これまでは以前食べて美味しかったおみやげやご当地の名品を購入することが主でしたが、今後は旅に出る前に目星をつけて、「事前にECから購入する」という使い方が主流になるかもしれません。
その場合、ECの方が店頭購入より安価になる、ECで購入すると現地で使用できるクーポンを付ける等のインセンティブを加えると、サービスとしての浸透率はさらに高くなります。

夏以降の「安・近・短」需要の増加で、公共の交通機関ではなく自家用車やレンタカーでの移動が多くなることも想定されますが、旅を快適にするグッズの購入も店頭ではなくECが主流となるでしょう。

これまでは店頭で見てからECで購入していた消費者も直接ECで購入する可能性が高く、商品のディテールや画像、説明文はこれまで以上に重要となりますので今一度見直しましょう。

旅行者はエチケットを守りながら、旅行者を迎え入れる側は旅行者に窮屈な思いをさせずに楽しんでもらえるよう配慮することが、双方にとっての「新しい旅のエチケット」と言えるでしょう。

新しい生活様式を取り入れて新しい旅を楽しもう!