マンネリに打ち勝つデザイン

ECの現場でデザインに携わっている中で
自身がデザインした成果物に何らかの共通点や法則を感じることはないでしょうか。

例えばページ内で使用しているフォントやエフェクト、装飾の要素に注目した場合
過去に制作したページ等でも同じような体裁で使用されていたりすることがあります。

定番のデザインがあることは本人の個性でもあり、業務効率化の観点からは時間短縮にも繋がりますが
ECサイトの場合、商品の特性をアプローチするだけではなく
最終的にはお客様に商品を購入していただくことを念頭にデザインする必要があります。

特にデザインにはデザイナーの好みや主観が大いに影響するため
気に入ったパーツや装飾を何度も使用してしまいがちです。
今回はデザインがマンネリ化しないためのとっておきの秘訣を伝授します。

■マンネリ脱却のカギはアイディア出しにあり

デザインに着手する前に脳内でシミュレーションしたり紙にラフを書いたりすることがありますが
長く携わっていると次第にその作業を行わぬままデザインすることが増えてきます。

これは脳内で考えたことをデザイン上でおおよそ形にできるようになったとも言えますし
経験を重ねたことでデザインのバリエーションが増え、考える前に手が動くという状況でもあります。

しかし裏を返せばデザインにおける新たな思考が生まれにくい環境とも言えます。

ECデザイナーは商品管理や受注対応等デザイン以外のことも並行して行う場合が多く
デザインだけに注力することは困難でしょう。

そのため、パターン化した「いつものデザイン」を駆使し商品をリリースすることが
時間を有効に使う一つの手段となるでしょう。

では限られた時間の中で新たなアイディアを生みだすにはどうすれば良いか?

答えはデザインに着手する前に商品に付随する「キーワード」をたくさん考えることです。
さらにキーワードから連想される「イメージ」も思い付く限り文字に起こします。

ここで重要なのは、すぐにデザインに着手するのではなくアイディアの基となるコンセプトを固めることです。
このプロセスを経てデザインを行うと商品の特性への理解が深まりブレの少ないデザインが完成します。

例えば「マカロン」の商品ページを制作するとします。
ターゲットは女性とし商品に付随するキーワードを考えてみると
【お菓子/甘い/カラフル/フランス/贈り物】等がありますが
さらにイメージも加えると【女性らしい/かわいい/丸みがある】というワードも出てきます。

上記から、マカロンは「甘くてかわいいお菓子であり、女性が好むもの」という捉え方ができます。
これを基にページを制作する場合、かわいい印象のレースやリボンの装飾、
柔らかな印象の明朝体やスクリプト体のフォント、
女性らしいパステルカラーを使用したページをイメージしますが、
マカロンを購入するのは必ずしも女性だけではありません。

ホワイトデーや母の日等の贈る相手が女性の場合、購入するのは男性の割合が高くなりますので
先程のキーワードやイメージを基に、男性が好みそうな装飾やフォントも一緒に考えてみましょう。

真逆の視点で考えることで商品の見え方や潜在的に抱いていたイメージが変わり
同じ商品でも打ち出すシーンや時期によってページの見栄えを変えるという選択肢が増えます。

基になるデザインは女性視点のページだったとしても、
ページを構成するパーツを変えたりイメージを融合させることで
男性視点になったりユニセックスな視点になったりとデザインの幅が広がるのです。

■客観的な視点の必要性

デザインにマンネリを感じるか否かは人それぞれですが、少人数で店舗を運営している場合
自分のデザインを批評されることが少なく、先述のようにデザインに費やす時間も限られるため
デザイナーの好みや主観が存分に反映された偏ったデザインになりやすい傾向にあります。

ECにおけるデザインの根幹にはお客様に納得いただき商品を購入してもらうという1つのゴールがあるため
見た目の美しさや完成度だけではなく、商品の特性を伝える文字情報を整理することも大切な要素です。

装飾やエフェクトに凝る余り、本来伝えるべき情報がおろそかになっていないか
お客様に本当に伝えたいことは伝わっているのかを改めて考える必要があります。

例えば先程のマカロンの味を表現する際に「さくさく感がたまらない」「プロも唸る本格風味」等
「おいしい」とあえて言わず別の言葉に置き換えて表現する手法があります。

ページを見たお客様は瞬時に試食ができる訳ではないため、
写真と文字情報だけで商品の味を判断することになりますが
これだけでは味を具体的に表現しているとは言えません。

上記を細分化し、どの部分が「さくさく」していてプロはどのあたりを「本格風味」と感じたのか
それを食べると「どのような気持ちになるのか」を、おいしい以外の言葉を用いて細かく伝えることで
お客様は食べたことのないマカロンの味をおいしいと感じるのです。

ここで重要なのは自分のデザインを俯瞰で見るということです。

長くデザインに携わっていると表現が単調になることがあるため
まずは今まで制作してきたデザインを見返し、商材は違えど何度となく使用している言いまわしや
クロージングの言葉はないか確認しましょう。

もし何度も使うお気に入りフレーズがあった場合
同じことを伝えるための別の表現を考えて文字に起こしてみましょう。

そうすることでパターン化していた表現にいくつものバリエーションが生まれ
新たな打ち出し方に変わることで、結果的ににページを見るお客様のマンネリ回避にも繋がるのです。

主観ではなく客観的なデザインを心掛けよう!