製品開発フレームTOPFM(トップエフエム)モデルと5つの情感理論 概要 E-commerce service company
別項でECにおける消費行動モデルとしてAFLARモデルと10の消費行動を体系化致しましたが、
製品開発におけるプロダクト側のフレームワーク「TOPFMモデルと5つの情感」を
弊社セクションラボチームより提唱します。(2015年02月10日提唱)
- Time:時間 いつ
- Occasion:場面 どのように
- Place:場所 どこで
- Frequency:どのくらい
- Money:いくらで
従来、一部クライアントにお伝えしたものですが、このモデルは一定の汎用性持つため、
より多くのEC事業者、EC支援業者にご活用いただけるよう公開します。
ここではEC事業者の8割以上を占める中小事業者向けの製品開発におけるフレームワークを提唱します。
・TOPFMは分析重視
・5つの情感は発想支援重視
と手法を分け、これらを用いて製品開発の土台作りをします。
製品開発はどの業態、どの企業にも重要なファクターである事は既知の通りですが、ビッグデータ活用といった、大企業の製品開発事例を体系化したフレームワークが多くここに中小事業者向けとして体系化しました。
元となったのはTime(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)の頭文字をとったTPOで、本来はファッションにおける「環境に応じたアウトプット」を意味し、昨今はマーケティングにも使われる概念です。
TPOと異なるのはここにFrequency(頻度) Money(お金)を加え、商品の魅力を構成する5つの情感を織り交ぜて体系化したものです。
総括的にこのモデル自体はさして目新しいものではありませんが、多様化した現在のEC市場環境における
一定の普遍性を有するフレームワークと考えております。
しかしこのモデルが全ての商材、掲載場所に当てはまると思っておりません。
このモデルは一定の条件下において、消費者との適切な接触が発生する場合に有効性があります。
後述に、詳細解説していきます。
引用・参考
マーケティングの個別戦略(日本能率協会コンサルティング)
2014年からのTPOマーケティング(船井総合研究所)
語感分析士育成会
製品開発フレームTOPFMモデルと5つの情感理論 背景と意義 E-commerce service company
1960年代に提唱された 「マーケティングミックス」という、マーケティングのフレームワークがあります。
マーケティングミックスは、いわゆる4Pとも呼ばれ、以下の構成要素の頭文字を取ったものです。
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(流通)
- Promotion(販促)
中でも「Product(製品)」は事業の根幹を担うものであり、とりわけ多様化したEC市場において最重要項目の一つで、「Product(製品)」をさらに細分化したフレームワーク自体も存在します。
製品開発はどの業態、どの企業にも重要なファクターである事は既知の通りですが、ビッグデータ活用といった、大企業の製品開発事例を体系化したフレームワークが多いのも事実です。
大企業のようなマスマーケティングが行えない中小事業者の製品開発は「多くのニーズに呼応する」のではなく、 「少ないニーズに呼応し長く続けてもらう」であると考えます。
それは人口減少が確定する国内市場ターゲットなら尚更です。
顧客分析が戦略・戦術設定において最重要項目であることは周知の通りですがこのフレームワークを中小事業者向けと絞り込んだのは、昨今ビッグデータと騒がれるようになってから、中小事業者もデータ解析・統計学的分析にリソース投下をするケースが見受けられます。
無論それ自体は良いことなのですが、限られたリソースで戦う中小事業者がそれを優先的に行う事は疑問と考えます。
そもそもデータ分析の威力は、標本数(データ数)が大きいものでないとあまり信憑性を帯びないものとなります。
それは必然的にEC事業を長くやってきた店舗ないしは大規模店舗が優位となる分野と言えます。
後発店舗は当然開店からデータを取っていくことは設計して開始するべきですが、データ量で大企業と同じ土俵で戦うことは、数年先になっても難しいでしょう。
すると当然ですが、1人1人の顧客に目を向けていくことが非常に重要になります。
地道な作業ですが店舗に知名度・信頼性が薄い段階から購入してくれた顧客は店舗にとってはこの上ない宝物です。
そうした顧客との付き合いを密にしていくことが、新規店舗又は中小店舗がより顧客に選ばれる理由を形成していきます。
このフレームワークの目的は
「その商品は顧客がいつ・どのように・どこで・どのくらい・いくらで買うのか?」 を決める事に他なりませんが
それを「顧客分析」という手段を用いて行うものがCRMであり、この項では「商品分析」という手段を用いて目的に到達することを主旨としています。
さて、世には売れない商品は膨大にあります。 なぜでしょう。
マーケットイン※1 の発想で商品開発できていないからでしょうか。
プロダクトアウト※2 の発想で商品を販売しているからでしょうか。
いずれも答えはNOで、マーケットインでも売れない商品は存在し、一方プロダクトアウトでも商品は売れます。
理由は単純で、商品力がさほどないから売れていないのです。
私共がこの項で申し上げたいのは、
- マーケットインは今を志向する。
- プロダクトアウトは未来を志向する。
- 必要以上にマーケットインに付き合わない。
- プロダクトアウト型でも顧客について考える。
という概念です。
主旨は常に今と未来を志向することが重要となります。
後述に、商品力の高い製品開発をするために、
商品を買う理由、ニーズを喚起することを考えていきたいと思います。
※1 ニーズを優先し、顧客視点で商品の企画・開発を行い、提供する方法
※2 企業が商品開発や生産を行う上で、作り手の理論を優先させる方法
製品開発フレームTOPFMモデル 活用例 E-commerce service company
顧客リサーチは当然ですがニーズを探しに行くことです。
ニーズを探すにあたり、最も強力なデータは販売データがあることですが、
それはニーズの広さに視点が傾く傾向があります。
ここでは後発店舗・中小店舗様向けを想定しているので販売データがないことを想定し、
全くの新規からニーズを探り出す例を記載します。
そもそも「ニーズ」と言うと、ニーズの広さ※3 に目を向けがちであることが間違いを犯しやすい起因となります。
先ずニーズの深さ※4 を測定した上で、ニーズをどれくらい広げることが可能かを検討する必要があるでしょう。
例を上げますと、 みなさんが女性向け補正ダイエット下着を販売するメーカーだと仮定します。
当然ですが、顧客が商品へどんな効果を期待しているか、
そしてこれまでどのような方法でダイエットの取り組みをしているかを把握しなければなりません。
そのためには、ライバルの下着ショップについて分析するだけでは不十分です。
顧客ターゲットとなりうる層が、現在どのような方法で、
ダイエットや骨盤矯正の取り組みをしているのかを知っておく必要があります。
たとえば、以下のような関連サービスがありますが、
こういった手法に実際に取り組んでいる女性ユーザーを観察・調査する必要があります。
- エステやサロンでのダイエット、骨盤矯正
- サプリメントなどの使用
- ノウハウ本などによる自己努力やエクササイズ
- 同様に下着などによる補正
- パーソナルコーチをつけたレッスン
ここでの意義は、 徹底的に顧客、ユーザーの視点を体験して考えることです。
顧客はこの商品を使うことで得られる自分に、どの程度人生を費やしているのかが
ニーズの深さを図る物差しになり、TOPFMモデルを使ってニーズの深さを図っています。
- Time:時間
- いつ
- 即時性、恒常性、限定性
- Occasion:場面
- どのように
- 利用場所の多様さ、限定性
- Place:場所
- どこで
- 利用場面の多様さ、限定性
- Frequency:頻度
- どのくらい
- 頻度の多さ
- Money:お金
- いくらで
- かかる金額
いつ(Time)どの場面(Occasion)どこで(Place)
それがどれくらいの頻度(frequency)で、お金(Money)はどれくらいかかるものなのか
上記の一連の文章の流れが一つの流れで説明できるようになると、 顧客ニーズの深さが理解できます。
先ほどの「ダイエットや骨盤矯正」の例の中から、
都内で働くOLでエステに通っている女性は下記のように分析できます。
- Time:時間
- いつ
- 休日ないし平日夜
- Occasion:場面
- どのように
- 痩身エステや骨盤矯正など
- Place:場所
- どこで
- 都内近郊ないしは自宅付近
- Frequency:頻度
- どのくらい
- 週1回、合計12回ほど
- Money:お金
- いくらで
- 10万/計
金額以外でかかっている時間コストや負担や、効果に対する不安、
反面、エステに通うことで得られる満足感もTOPFMから感じ取る必要があります。
エステ通いのデメリットは、
- 金額
- 週1回という負担
- 効果が得られるかどうかわからない不安の大きさ
メリットとしては、
- エステに通うことで得られる満足感
などが考えられます。
ここから浮かび上がってくるニーズに対し、「理想的な状態」を描いてきます。複数あってもよいかもしれません。
その中にみなさんの販売する商品が合致していればよいのです。
その商品が代替することで得ることができる顧客満足は何かが見えてきたら、
その商品は売れる可能性があります。
次の項ではより詳細にニーズの大きさを定めながら、
どのような価格とセールスメッセージで販売すればよいのか見ていきたいと思います。
※3 ここではニーズの広さを、購入者数として記載します。
※4 ここではニーズの深さを、LTV(顧客生涯価値)として記載します。
製品開発フレームTOPFMモデル 活用例 E-commerce service company
最上述の通り、TOPFMは分析重視、5つの情感は発想支援重視と考え
ここでは5つの情感を用いて製品開発の土台作りをします。
ここまで商品がお客様にとってどのようなニーズがあるのか考察しましたが、
ニーズに合った商品を用意するだけではなかなか売れません。
お客様のニーズを描くことで、このニーズに対して「魅力を伝える」ことで初めて売れていきます。
この項ではその魅力を伝えるために、どのように考えていけばよいのか記載します。
これまでの例を踏襲して「機能性下着」を販売するメーカーで、ターゲットの1人がエステ通いのOLとお客様層を仮説し、
TOPFMモデルに当てはめたお客様を分析すると、 以下のコストがかかっていることがわかりました。
- Time:時間
- いつ
- 休日ないし平日夜
- Occasion:場面
- どのように
- 痩身エステや骨盤矯正など
- Place:場所
- どこで
- 都内近郊ないしは自宅付近
- Frequency:頻度
- どのくらい
- 週1回、合計12回ほど
- Money:お金
- いくらで
- 10万/計
これを販売商品である「機能性下着」に置き換えると、以下になります(数字は仮)。
- Time:時間
- いつ
- 常時
- Occasion:場面
- どのように
- 常時
- Place:場所
- どこで
- 常時
- Frequency:頻度
- どのくらい
- 常時 使用実感期限として最低1ヶ月~3か月
- Money:お金
- いくらで
- 1万×3着 → 3万円/計
単純に利用シーンだけで見るとメリットがあるように感じますが、以下の2点がリスクになります。
- 下着のデザインをおしゃれにしたとしても、勝負下着には勝てないため、多少着用しない日が発生すること
- エステと比較すると単純にメリットが多いが、使用実感と効果実感の面でどうしても劣ってしまうこと
しかし実際は、上記2つとは別のアプローチの製品です。
一方で、さらに類似・同カテゴリ商品に対する競争を図る必要もあります。そこで魅力を伝えるには、
お客様ニーズを満たすだけでなく「欲しいという欲求」を形作らなければなりません。
欲求を形作るには、商品の魅力を分析し、訴求する要素をピックアップする必要があります。
この要素が決まると、どのような売りかたをすればいいのかが明確になり、
商品ページやLPでの購買率、集客導線を決定する軸、リピート購買を促進するために
伝えるべき商品メッセージについて方向性が定まります。
実際のところ、セールスメッセージは人間を相手にするので明確な正解がありません。
いくつも試して、ようやく限りなく成功に近いメッセージができあがりますが、
この要素が明確になっていると、ゴールへの距離が縮まります。
私どもでは商品の魅力を5つの情感に分けて体系化しております。
ちなみに、品質や技術力について触れないのは、「当然」だからです。
市場に溢れる商品やこれまでの一般的な認識以下の商品は、ECでは売りづらくなっています。
機能性下着を例に、それぞれ見ていきましょう。
ポイント1:高揚感
- 美しいスタイルになる(頑張らないで、楽して、簡単に、食べても)
ちなみに、品質や技術力について触れないのは、「当然」だからです。
市場に溢れる商品やこれまでの一般的な認識以下の商品は、ECでは売りづらくなっています。
機能性下着を例に、それぞれ見ていきましょう。
ポイント2:優越感
- 同年代と比較して美しいスタイルの自分
- スタイル維持の秘訣を聞かれる自分
- ストレスを感じなくても美しさを保っている自分
所属する職場や学校、友達、人間関係にまつわるものです。
コンプレックス商材やブランドが重要なアパレル商材、車など高額商材には影響を及ぼします。
ポイント3:生活感
- これまでの機能性下着や補正下着と違って苦しくない、蒸れない。毎日つけたいデザイン。
ポイント2の「優越感」と打って変わって、日常的に使用する商品にとっては非常に重要です。
使いやすさ、安心感、自分に合っていることなどがキーワードです。
ポイント4:値頃感
- エステにいくよりずっと安い。
- 耐久性がありデザインもいいので、他社より高くても安いと感じる。
上記のように思ってもらえる価格が、値頃感がある商品です。
詳細な市場分析もありますが、経験則とテスト販売で見極める必要があります。
高いのではなく、安すぎるものでもない価格設定を考える必要があります。
ポイント5:語感
- 商品名が与えるハード/ソフト/ホット/クール等のイメージが商品と合致する。
- 究極的には商品名で、効果効能を想起できる。
語感は破裂音、摩擦音、破擦音、流音などに分かれ、さらには無声音、有声音といった細分化されます。
その適切な組み合わせで商品名を構成すると、商品の特性に様々な想起を与えることができます。
「美しくなれる」と伝えたいところですが、薬事法に抵触するため、
美しくなって得られる生活や理想の自分をイメージした商品名にしましょう。
これら5つの情感は開発段階でターゲットとなる層に聞いてみるのもよいです。
ここまで中小企業における製品開発フレームワークと、魅力を伝える5つの情感を記載しましたが別項でこれらを運営に当てはめて記載します。
お客様のニーズが見えたら、それを解決するための商品を開発しますが、しかし、それをそのまま伝えるだけでは、お客様に伝わりません。
魅力を発信してはじめて、価値が少しだけ伝わり、そして価値が広がっていきます。
製品開発フレームTOPFMモデルと5つの情感 まとめ E-commerce service company
最後にまとめとして、
「TOPFMモデル」と「5つの情感」を統合して活用する方法を記載します。
先ず自社での製品開発における土台作りがTOPFMモデルであり、
発想支援重視を5つの情感として定義してきましたが、 これにより、3C分析における
Company(自社)
Customer(顧客)
を洗い出したと言えます。
最後に残っているのは、Competitor(競合)です。
競合の定義付けは他にもありますが、 仮想競合となりうるのは
上記で定義したTOPFMモデルと5つの情感と 同様のメッセージを発している企業です。
そうすると、競合との比較表ができます。
(関連:競合サイト分析サービス)
最後に使い方の流れを示します。
- 1. Customer(顧客)視点で、Company(自社)の「TOPFMモデル」を作成する。
- 2. Customer(顧客)視点で、Company(自社)の「5つの情感」を作成する。
- 3. Competitor(競合)を定義する
- 4. Competitor(競合)の商品を「TOPFMモデル」で定義して記載する。
- 5. Competitor(競合)の商品を「5つの情感」で定義して記載する。
- 6. Company(自社)とCompetitor(競合)を比較分析して総論をまとめる。
これにより強み・弱みが分かり、 つまり勝てる部分・劣る部分が明確にすることで、
どのようなチャネルとプロモーションで 販売していくかまで展望することを可能にします。
この分析を可能にするために、 以下より画像をダウンロードできるのでご自由にお使いください。
お客様のニーズが見えたら、それを解決するための商品を開発しますが、
それをそのまま表現しただけでは、お客様に伝わりません。
魅力を発信してはじめて、価値が少しだけ伝わり、そして価値が広がっていく。
そのような商品開発を新規・リニューアル開発する際にしていくことが、
ECという広いフィールドで戦い抜くために必要になってきているでしょう。
その他の研究成果はこちら