取得段階(relation)の4タイプ商材と顧客期待値/満足度の相関性 概要 E-commerce service company

別項で公開したAFLARモデルと10の消費行動は 細分化構造 (AISDC3AES アイスドシースリーエース)に体系化致しましたが、
取得段階(relation)におけるフレームワーク「取得段階の4タイプ商材と顧客期待値・満足度の相関性」
弊社セクションラボチームより提唱します。(2014年9月29日提唱)

従来、一部クライアントにお伝えしたものですが、このモデルは一定の汎用性持つため、
より多くのEC事業者、EC支援業者にご活用いただけるよう公開します。

取得段階の4タイプ商材と顧客期待値・満足度の相関性の図説

ここでは同梱物※1を用いた期待値コントロールと満足度の相関性を体系化したものを提唱します。

期待値のコントロールによって顧客満足度は変わり、今後の店舗に対する期待値にも影響を与えます。
それらを4つの商材属性に合わせてマトリクス化して体系化しました。

総括的にこのモデル自体はさして目新しいものではありませんが、多様化した現在のEC市場環境における
一定の普遍性を有するフレームワークと考えております。

しかしこのモデルが全ての商材、掲載場所に当てはまると思っておりません。
このモデルは一定の条件下において、消費者との適切な接触が発生する場合に有効性があります。

後述に、詳細解説していきます。

※1 ここで記載する「同梱物」とは、販売商品に同梱する物を指し、広義では「同封物」と同義となります。

引用・参考
食品ネットショップ「10倍」売るための教科書(日本実業出版社)
楽天市場公式ネットショップの教科書(インプレスR&D)

期待客の心理モデル E-commerce service company

弊社がECコンサルティングをする場合、集客や接客よりも先に同梱物の改善を重視しております。

理由は後述いたしますが、ネットショップの成功サイクルで「集客→参客→接客→増客」※2と楽天大学は提唱しています。

広義では、同梱物は増客施策に含まれますが、私共の考える同梱物は「接客→増客」の中間に存在します。
行動フローで言えば「接客→期待客→増客」と、期待客を間に含めて考えています。

期待客とは※3 弊社センターラボチーム提唱の、
AFLARモデルと10の消費行動の取得段階(relation)に発生する独自の顧客行動フェーズです。

■顧客属性区分

接客
:商品ページで商品を実際に購入してもらうネットショップ上の訴求
期待客
:消費者とリアルで繋がる接触点。期待値コントロールの要(かなめ)
増客
:ロイヤルカスタマーへの引き上げ、LTV施策

期待値コントロールの要と記載した通り、以降の増客行動フローの成否は、
全て期待客によって決まると言って過言ではありません。

期待客は「ネットショップで一番最初にリアル接触する」タイミングになります。※4
期待客を細分化しますと、

■期待客の細分化

  • ①商品購入
  • ②商品お届け期間
  • ③商品開封
  • ④同梱物確認
  • ⑤商品確認

という一連の行動を包括しています。 以下を、消費者の気持ちで想像してみてください。

■購入:ネットショップで欲しい商品を見つけて購入

■お届け期間:商品が届くまでのワクワク感

■開封:商品が届いて、いざ開封

■同梱物、商品確認:開封した瞬間、目に飛び込んで来たのは…

最初に目に飛び込んで来たものが「納品書」である事は珍しくありませんが
もし、「手書きの挨拶状」であればどうでしょうか。

少なくとも味気ない納品書より人間味を感じると思います。

全てが機械であれば、納品書のみでも良いかもしれません。
しかし、ネットショップ販売はショッピングカートを利用した自動システムでも、販売そのものは人が対応しているわけです。

システム化するべきところ、システム化してはいけないところが店舗差別化に繋がります。
まして、一番最初の消費者との接触が「温度感も何もなければ」期待値は下がることこそあれ、
上がることは絶対にあり得ません。

リアル店舗で例えれば、お店に入ったのに「いらっしゃいませ」の挨拶もない店舗と
元気よく笑顔で「いらっしゃいませ」と声をかけてもらえる店舗のどちらが気持ち良いでしょう。

人の第一印象は3秒で決まる言われますが、人に限らず第一印象は即座に決まりますので、
最初の接触が非常に重要になるわけです。

さてこの例で言えば、実際にどの順番で同梱物を封入するかと言う点も検討の要素です。

同梱物にこだわっている店舗なのに、何故か順番はルール化されていなかったりすることもあります。

順番については、店舗毎に同梱物は異なりますので、「消費者の気持ち」で
店舗のスタッフ一同で考え、実行してみる価値があると言えます。

その際、ABテストでリピート割合等の数値計測を必ずして、
有効性の高い内容をさらに高める施策に繋げる必要があります。

※2 楽天が提唱するECサイト成功フレームワーク。モール出店時の戦略に有効性がある。
※3 弊社センターラボが2010年9月考案提唱。
※4 商品問合せ等もありますが一般的な注文フローで考えます。

期待値コントロールの概念 E-commerce service company

ここまで「期待客」における同梱物の影響を記載しました。

成功店舗の店長さんにお話を伺うと、期待客という言葉はさておき
概念として「期待値コントロール」を非常に意識されていました。

期待値コントロールは必ずしも接客時点で高くする必要はありません。

むしろ、接客時に商品ページデザインをハイクオリティにして期待値を高めすぎたために、
「実際の商品とは異なるではないか」というクレームに繋がった失敗経験があります。

それよりも、あえて接客段階では期待値を下げておく方が
結果として満足度に繋がることがあります。

満足度を上げる同梱物の成功事例は後述しますが、
総括して期待客は、顧客関係の重要ポイントになります。

多様化するEC業界は、オムニチャネルと言われるように
リアルやネットという垣根を越えた商売が発展していきます。

その時に何が重要かと言えば、真っ先に顧客関係作りと言えます。
商売の基本ですが、改めて原点に立ち返る必要があります。

もし、今の店舗が消費者との関係作りが希薄であれば、近い将来淘汰される可能性は否めません。
大手のような企業体力のあるところが参入してきた今、いかに「顧客に必要なお店」になれるか、という要素です。

改めて以下のポイントを頭に入れて、顧客関係作りの一歩先を進む必要があると言えます。

■期待値コントロールの基礎概念

  • ・同梱物は一番最初に見直すべきである
  • ・ネットショップにおけるのリアルファースト接触は、商品開封時である
  • ・期待客を満足させる事が成功サイクルの要となる

顧客満足度と顧客期待度の相関性 E-commerce service company

期待値のコントロールによって、満足度は変わり、今後の店舗に対する期待値にも影響を与えます。

消費者との関係作りのファーストステップで重要であると述べましたが、
センターラボが研究した中で効果の高かった同梱物施策の事例をもとに
更に掘り下げて、顧客満足度と顧客期待度の相関性をお伝えします。

■顧客満足度と顧客期待度の相関性(CE:Customer Expetation)
顧客満足度と顧客期待度の関係性は以下4つのグルーピングで分けることが出来ます。

取得段階の4タイプ商材と顧客期待値・満足度の相関性の図説

期待度も高く、満足度も高いものは理想的と思いますが、一概ではありません。
店舗で取扱う商品にもよりますし、その目的によってもどのグループをゴールにするかによって変わってくるからです。

具体的に各グループに該当する商品は以下のようになります。

エンタメプロダクト:
競争が激しい商品また評価基準があいまいな商品。
エンタメ系全般(音楽、本、映画、TV、ファッション、高級食品、スイーツ等)
サプライズプロダクト:
マーケティングで仕掛ける商品。
お得度を演出することでサプライズ商材となる。ブランディングができない商材が狙うべきポイント。
今回の同梱物の話は、サプライズプロダクトのマーケティング手法を提唱しているとも言える。
ブランディングプロダクト:
理想的な姿であるが、時代・流行・市場の後押しが必要な商品。
たまごっち、くまモン、ふなっしー、プリウス等。
リーガルプロダクト:
法的に保護されていてかつ価格も内容も差別化ができない商品。
必需品のため一定の需要は確保できる商品。通信費・電気料金など公共料金系。

以上のようにネットショップでは4つに分類する事が出来ます。

見てお分かりの通りですが、基本的にはエンタメプロダクトまたはサプライズプロダクトが
他店との差別化になりうるグループになります。

大手が本格参入している昨今、弊社ではサプライズプロダクトこそ
中小企業が勝ち残るキーになるのではと考えています。

サプライズプロダクトは、期待度は低いのに満足度は高い。
つまり、消費者の期待を超えていると言い換えられ、良い意味で期待を裏切る必要があります。

商品到着時が一番期待値が高まっています。
その時に消費者の期待を超える事が出来れば、消費者の店舗に対する印象は一気に良い方向へ高まり
顧客満足度が向上するわけです。

顧客満足度の高い同梱物事例 E-commerce service company

弊社が過去に300通りの同梱物検証を行った中、反応が良かった事例4点を抜粋しご紹介します。
店舗によって商品が異なれば、消費者も異なりますのであくまで参考にして頂ければと思います。

(参考:ECブランディング理論 C-VAIPASSの8指標


①ゲーム性

高確率で当選し、かつ公平性が保たれる要素が望ましいです。 一例では「今月は注文番号下一ケタが偶数の方、当選です!」というメッセージを添えておきます。さらにプレゼントの受取りをするためのURLを合わせて記載しておきます。遷移先のページには、プレゼント内容とあわせて次回購入に使えるクーポンも合わせて発行します。

この検証ではクーポンはプレゼントページ訪問者の32%以上が利用する結果となりました。全員プレゼントに近い概念ですが、顧客満足度を高める有効施策で、リピーター商材であればLTV化に繋がるため最終的に利益も残ります。


②サプライズ同梱

海外事例で興味深い内容がありましたのでご紹介すると、海外の人がネットオークションで日本の商品を落札しました。
届いた商品を開けたところ、「スナック菓子」が入っていました。注文した商品と違うので「あれ?」と思ったそうですが、しっかり商品も入っていました。スナック菓子は「緩衝材」として使われていました。そこには手紙と折り紙まで入って親切な心に大変驚いたのと、喜んだそうです。
期待値を超えるにはサプライズは有効ですが、あまり頻発してはサプライズ感も薄れてしまいますので、当たり前にしないようにコントロールする必要がありますがサプライズは有効な施策の一つと言えます。

また送り状を同梱物として考えた場合、あるロックアーティストTシャツ通販専門店では、商品発送時の送り状に、手書きで購入頂いたロックアーティストのロゴを書く事で、お店側の商品愛と共に話題性を誘発させる事例もあります。

送り状の参考イメージ

他にはAR(拡張現実)のコードが記載された御礼状を入れて、QRコードで識別すると動画メッセージが流れる施策などがあり、現段階においてはサプライズの一つと言えます。サプライズという属性で同梱物検証を行った施策は、商材によって振れ幅が出ましたがビフォーアフターと比較してリピート率は5~10ポイント向上しました。


③無料にする

100円サンプル等の少額購入であれば商品到着時に「今回は費用を頂きません」と伝えることで「得をした」という気持ちになるため、店舗が記憶に残りやすくなります。少額サンプルの時点で期待値を低いところに「無料」となれば必然的に期待値は高まります。店舗としても少額であれば回収コストの方が高くついてしまう事もあるため、予め施策の一環として想定しておくと良いでしょう。この検証では、ビフォーアフターと比較してリピート率は20~22ポイント向上しました。


④出前帳を作る

寿司、ピザ等の出前帳(チラシ)を目に見えるところに置く事は多いです。それらはいつでも目に入る所にあることで、直ぐに注文が出来る出前帳と同義ですが、これはネットショップでも参考に出来ます。例えば、即日配送可能なスイーツ店が出前帳を作成します。誕生日や女子会や急な来客の対応で活用して頂けるかもしれません。身近な存在になるツールとしても出前帳は有効的です。この検証では、1年以上のロングスパンビフォーアフターで、リピート率は3~6ポイント向上しました。


まとめ

同梱物は全て手書きがベストです。 「手書き→手書き風(コピー印刷)→パソコン作成」の順で満足度は変化が見られますが、手間がかかるのも事実です。
だからこそ消費者に訴えかけられる事ができるとも言えますが、手書き風(コピー印刷)だとしても、
人間味が伝えられる添え状はできます。下記は一例として記載しておきます。

手書きの同梱物の参考イメージ

消費税増税のお知らせも併せて記載がありますが、お店側の理念、想いが伝わる一例と考えます。
この事例は手書き風(コピー印刷)ですが、一定の効果が得られていると考えます。

また先日、某サプリ会社の商品を注文したところA3用紙2枚分の手書きの「お客様の声」が同封してありました。
圧倒的な量で思わず「凄い!」と声が出てしまいました。手紙は言葉にできない想いを伝えるとも言われますが、やはり手書きだからそのような感情が見えるのではないかと思います。


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